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前市長逮捕という衝撃的なニュースが出ました
しかも、静岡県伊東市の前市長ですが
動いているのは、警視庁(つまり東京の警察)のようです
事件の概要は
静岡県伊東市の佃弘巳前市長が現職だった平成27年頃
廃業ホテルの「伊東マンダリン岡本ホテル」跡地約4000平方メートルを伊東市が購入する見返りとして
跡地を所有していた売主不動産業者の役員から、現金約1000万円を受け取った疑いで逮捕されたとのことです

なお、佃前市長は「(1000万円は)貸していた金を返してもらっただけだ」などと否認しているようです

この事件では、
佃前市長には、単純収賄罪、受託収賄罪、加重収賄罪のいずれかが成立する可能性があります
一方、1000万円を支払った業者側には贈賄罪が成立する可能性があります
これらの犯罪について簡単に説明します。
【単純収賄罪】
これは、公務員が、職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときに成立します。単純収賄罪の場合、法定刑は5年以下の懲役となります(刑法197条1項前段)。
【受託収賄罪】
これは、単純収賄罪に該当する公務員が、請託(職務に関連する依頼)を受けたときに成立します。法定刑は7年以下の懲役となります(刑法197条1項後段)。
単に賄賂をもらうだけではなく、職務に関する依頼の対価としてもらう場合の方が、公務員の職務の公正とそれに対する国民の信頼が損なわれる度合いが大きいので、処罰が重くなります
【加重収賄罪】
これは、受託収賄等の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときに成立し、1年以上の有期懲役となります(刑法197条の3第1項)。
単に職務に関する依頼を受けて賄賂をもらうよりも(受託収賄)、実際に不正な行為をした場合の方が公務員の職務の公正とそれに対する国民の信頼が損なわれる度合いが大きいので、より処罰が重くなります。
1年以上の有期懲役=1年から20年の間で刑を決められることになります
【贈賄罪】
これは、賄賂を供与、又はその申込み若しくは約束をした場合に成立し、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金となります(刑法198条)。
もらう側より、渡す側の方が刑が軽くなっています
佃前市長については
簡単にいいますと
不動産業者から単にお金をもらっているだけなら単純収賄
不動産業者から、不動産を市に買ってもらいたいという請託を受けた場合が受託収賄
この請託を受けて、購入の必要性のないホテル跡地を伊東市に買わせる判断をしたのであれば加重収賄
ということになります
収賄被疑者の場合、必ずしも逮捕されるわけではありませんが
否認している場合は、密室で行われる犯罪という事案の性質上、
関係者との口裏合わせなどを行う可能性が高いと判断され
逮捕勾留される場合が多くなるでしょうし
その場合の勾留には接見禁止処分(弁護士以外との面会が一切禁止)が付される可能性が高いです
そして起訴されるかどうかは、贈収賄を裏付ける証拠があるか
具体的には、贈収賄の当事者の供述と、金銭の流れを裏付ける出入金記録等が揃うかどうかという点がポイントになります
収賄で起訴される場合は、罰金刑がありませんので、略式命令となることはなく
通常の刑事裁判にかけられることになります
そして刑事裁判の結果は、多くの収賄の案件で執行猶予となります
とはいえ、公務員は職を追われることになるでしょうし
加重収賄など、不正を行ってしまった場合には、その不正による損害の賠償をしなければなりませんので
大きな経済的負担を負わなければならなくなる可能性が高いです
なお、今年の6月1日から日本版司法取引である「合意制度」が開始されており、先日、「合意制度」の利用1号が出たという報道がなされました
佃前市長は事実関係を否定しているようなので
例えば贈賄罪での起訴の可能性のある売主不動産業者が「合意制度」を利用し
佃前市長の収賄について取調べや裁判で正直に話す見返りとして
不起訴処分とされたり、軽い量刑での求刑を受けるということもあり得るかもしれません。

 

いずれ賄賂の額も大きいですし、佃前市長が否認しているという事情もありますので
今後の捜査の進捗、「合意制度」の利用等について注目していきたいと思います。