【大阪北部地震】壁や建物崩落の責任は?

コラム

大きな地震がまた起きてしまいました

震度6と聞いたときには

「ちょっと大きな地震だな」くらいにしか思いませんでしたが

現時点で4人もの方が亡くなられているとのことです

しかもその大半が建物や壁の崩落

一番大きく報じられていたのは、小学生の女の子が市立小学校のプールの壁の崩落に巻き込まれて亡くなったニュースでした

しかもその壁は違法建築のようです(建築時期は不明)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180618-00050118-yom-soci

法律上、建物や壁の崩落の場合

一時的な責任を負うのは占有者(≒現実の管理者)

占有者が無過失を証明できた場合は

所有者が無過失責任を負います(民法717条)

『(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

第七一七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。』

ただ、設置時に予測できない程度の天変地異による崩壊等の場合は、設置の瑕疵にあたらないとして責任を負わない場合もあります

 

今回は震度6の地震というのは微妙ですが

地震が多い日本で

東日本大震災の震度には到底及ばない程度の震度ですから

東日本大震災後になんらの耐震補強をせずに放置していたなどの事情があれば

瑕疵と認められ責任を負わなければならない可能性は高いのではないかと思います

ただ今回のケースは明らかな違法建築(瑕疵)です

これは耐震補強以前の問題です

ブロック壁の高さには建築基準法等による制限あります

ブロック壁は

控え壁がなければ1.2メートル以下

控え壁を作っても2.2メートル以下としなければならないなどの規制があります

(もう少し細かな規制があります)

しかし今回の小学校はこの制限を無視して設置されていました

崩落防止や被害拡大防止のための法律の規定を無視して設置され、放置されてきたわけですから

市は責任を免れないと思います

占有者(管理者)も所有者も市ですので

 

このような観点から考えると

今回の死亡ケースはいずれも『人災』といえるのかもしれません

 

僕も建築紛争をやっていますが

業者が基礎をしっかり作っていなかったり

壁の高さを間違っていたり

ということはままあります

 

今後も地震が来る可能性があります

地震に備えて

皆様のご自宅などの壁や小屋に崩落の危険がないか

これを機にご確認いただければと思います

 

これ以上被害が拡大しないことをお祈り致します

 

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