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ここ数日のトップニュースになっている日本ボクシング連盟山根会長問題

今朝、日本テレビの取材に直接山根会長が答えていましたね。

なかなかの雰囲気というか威圧感というか・・・

 

幹部や元選手から出された告発状について、

日刊ゲンダイさんがわかりやすいまとめを挙げられていましたので引用させていただきます。

① アスリート助成金の不正流用の教唆及び隠蔽
(助成金を対象選手以外にも分配するように指示、隠蔽も)

② 試合用グローブ等の不透明な独占販売

(公式戦は連盟検定品以外の着用を認めず、指定店一社が独占販売)

③ 競技力向上事業助成金等に関する不透明な財務運営

(助成金から支出されたコーチの日当を不当に徴収)

④ 全国大会費に関する不当な財務運営

(連盟から全国大会開催県への交付金を巡り高圧的な返金要求など)

⑤ 「五輪基金」に関する不透明な財務運営

(17年に2000万円規模で設立された基金の不適切管理指摘)

⑥ 公式戦における組織的な審判不正

(会長がひいきにしている選手の試合には指示に従う審判員配置など)

⑦ 全国大会開催時の不適切行動

(開催知恵の過大な配慮要求=おもてなしリスト、賭けマージャン疑惑など)

⑧ 不適切な理事の選任

(連盟自ら定めたアマチュア憲章に反してプロの興行に関わった人物を理事に選任)

⑨ 山根会長の会長就任に介在した暴行疑惑

(10年に関係者が会長選で山根氏への賛成を求めて暴行と指摘)

⑩ 国体の隔年実施競技への格下げ

(23年以降、国体で隔年実施となった事態について対策を取らずに放置)

⑪ 若手が自由に競技に取り組む可能性を阻害する決定

(プロ協会主催の大会の出場選手は試合参加を認めず)

⑫ 全国高体連専門部の連盟に対する問題提起

(高体連専門部の連盟に対する問題提起について拒絶的態度)

これらに関して、山根会長は

①については事実を認めつつ、自身の無知で、助成金の分配が許されると思っていたと弁解していました

その他については、概ね否定しています。

 

そこで①について認めている前提

及びその他の事実関係については、本人の自白がなくとも

他の証拠や証言によって裏付けられる場合

どのような犯罪が成立しうるのかについて、簡単に解説させていただきます。

 

なお、ここからは報道を踏まえてのあくまで予測ですが

今回の案件のみそは、

下記①~⑫個々の行為の以前に、というか背景として
「会長に歯向かうとボクシングが続けられない」

という空気や前例が連盟内にあり、皆がある種の洗脳状態下で会長とのやりとりをしているという点にあると思います。

いわば、尼崎事件や北九州監禁事件のような心理状態

もしくは、暴力団の組長のように、皆が当然に指示を守り、慣習を堅持し、忖度をするという状態が

前提になっていると思います。

ですので、

胸ぐらを掴んで「お前、●●しなければ、二度とボクシングをできなくさせてやるからな」

というわかりやすい発言をしていなくても

「●●しておいてもらいたい」

「奈良の選手を勝たせてもらいたい」「奈良の選手が勝つと気持ちがいい」

「みかんが大好き」

「あの審判はジャッジする能力あるのかな」

「あの選手は疲労が蓄積しているな」(だから棄権させた方が)

などという言動でも、十分他人の行動をコントロールできた可能性があるように思います

 

※ 以下、日刊ゲンダイさんのの番号に沿ってご説明します

① アスリート助成金の不正流用の教唆及び隠蔽

(助成金を対象選手以外にも分配するように指示、隠蔽も)

どのタイミングで分配を指示したのかによりますが、

助成金の申請時点から、分配を指示していたのであれば、スポーツ振興センターに対する詐欺にはなり得る

(初めから不当な利用をする目的だったのに、それを秘して申請した)

※ 山根会長は、助成金の分配は許されると思っていたとのことですが、

この認識が真実(と思われるような状況証拠がある)のであれば、詐欺の故意は否定されるかもしれません

 

しかし、そもそも助成金の使途についての報告が義務付けられていることは当然であって

その報告に「他の選手に分けた」と書いたら問題になることくらいわかりそうなもの。

この弁解については、慎重にならなければならないように思います。

受給後に成松選手に分配を迫った

⇒働きかけの仕方によっては恐喝罪

② 試合用グローブ等の不透明な独占販売

(公式戦は連盟検定品以外の着用を認めず、指定店一社が独占販売)

 

独占販売をしていた業者が独占禁止法違反

市場価格にリベート分を乗せた価格が適正価格であると欺いて、2~3割増しの価格でグローブを購入させたのであれば、グローブ購入者への詐欺罪の可能性

リベートを強要していた場合は、恐喝罪

独占販売に対するライセンス料が連盟に支払われる構造だった場合で、リベートによりライセンス料が減っているなど連盟に財産的損害がある場合

連盟の会長という地位を利用して、自身の利益を図っていたといえるので背任罪の可能性

(背任については独占販売をめぐるライセンス料等の権利関係ががどのように設定されていたのか等によります)

③ 競技力向上事業助成金等に関する不透明な財務運営

(助成金から支出されたコーチの日当を不当に徴収)

コーチから日当を徴収する際の働きかけの方法が脅迫的であれば、恐喝罪

④ 全国大会費に関する不当な財務運営

(連盟から全国大会開催県への交付金を巡り高圧的な返金要求など)

 

高圧的な返金要求=恐喝罪

返金を受けた金銭が協会ではなく山根会長個人のものになっているのであれば業務上横領

⑤ 「五輪基金」に関する不透明な財務運営

(17年に2000万円規模で設立された基金の不適切管理指摘)

 

基金の一部を山根会長個人資産にしていれば業務上横領

自分の好きな選手だけに恣意的に分配しているような実態があれば背任

⑥ 公式戦における組織的な審判不正

(会長がひいきにしている選手の試合には指示に従う審判員配置など)

審判員に対する強要罪

⑦ 全国大会開催時の不適切行動

(開催知恵の過大な配慮要求=おもてなしリスト、賭けマージャン疑惑など)

 

おもてなしリスト=忖度であれば犯罪にはならない

従前の言動や働きかけ、会長やその周辺からの働きかけが脅迫的であれば恐喝罪や強要罪になりうる

賭けマージャンは単純賭博罪(金額や期間などによっては常習賭博罪)

⑧ 不適切な理事の選任

(連盟自ら定めたアマチュア憲章に反してプロの興行に関わった人物を理事に選任)

 

会内での政治的な判断は犯罪にはなりにくい

会社の偏った人事でも犯罪にはならないのと一緒

⑨ 山根会長の会長就任に介在した暴行疑惑

(10年に関係者が会長選で山根氏への賛成を求めて暴行と指摘)

暴行罪

⑩ 国体の隔年実施競技への格下げ

(23年以降、国体で隔年実施となった事態について対策を取らずに放置)

 

連盟として意思決定なのであれば何の責任もない

理事の立場で行うべき方策を尽くしてこなかった、自身の利益のために適切な選択をしなかった

と評価できるのであれば任務懈怠責任として民事賠償の話にはなるが

犯罪ではない

⑪ 若手が自由に競技に取り組む可能性を阻害する決定

(プロ協会主催の大会の出場選手は試合参加を認めず)

 

⑩と一緒

⑫ 全国高体連専門部の連盟に対する問題提起

(高体連専門部の連盟に対する問題提起について拒絶的態度)

 

⑩と一緒

【罪名に対応する法定刑】

詐欺罪 246条 10年以下の懲役

恐喝罪 249条 10年以下の懲役

強要罪 223条 3年以下の懲役

背任罪 247条 5年以下の懲役又は50万円以下の罰金

業務上横領罪 253条 10年以下の懲役

単純賭博罪 185条 50万江に下の罰金または科料(科料は1万円未満)

常習賭博罪 186条 3年以下の懲役

独占禁止法違反(私的独占) 独占禁止法89条 5年以下の懲役または500万円以下の罰金

 

なお、上記それぞれに関して

民事上の責任(慰謝料や助成金の返金義務)を追う可能性もあります

 

民事上の責任追及の対象となる可能性は、刑事上の責任を負う可能性よりも高いと思われます。

 

もう1つ法律上問題になると感じたのが

告発状提出後の、山根会長の村田選手に対する発言です

 

山根会長はインタビューの中で

「村田選手が金メダルを取れたのは自分の力だ」

「審判が残り10秒で反則を認めたから1点差で勝てたんだ」

といった趣旨の発言をしていました

(不正確かもしれません)

 

これは、村田選手の評価を著しく下げることになる発言なので

それが真実であろうがなかろうが

名誉棄損罪になると思います

 

今後まだまだこのニュースに関する報道が続くと思いますが

一部公金の入っている助成金の利用や

ボクシングというものに対する信頼を揺らがせる結果になり得る

大事件だと思いますので、引き続き、事実関係の解明に向けた調査等に注目していきたいと思います。

 

 

 

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