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令状GPS捜査、違法性なし 自動車窃盗は有罪https://www.google.co.jp/amp/s/mainichi.jp/articles/20180830/k00/00e/040/286000c.amp

本日、GPSを利用した捜査に関して

注目すべき判決が千葉地裁で出されました

警察官が自動車窃盗団を一網打尽にするために

盗難車などに無断でこっそりGPSを取り付けて、そのアジトや海外搬出ルートなどを暴くというGPS捜査

 

この有用性は確かに高いと思います

 

ただGPSを勝手に取り付けられて

警察に一日中

場合によっては数カ月にわたって居所を把握される

こんな捜査を勝手にやられることを想像してみると

「たまったもんじゃない」

と感じるのが普通だと思います

プライバシー侵害が著しいからです

またGPSをつけられるのは

「犯罪を犯している可能性のある車両」

ですから、まだ犯人確定ではないわけです

 

そんな状態の一般人に

警察が好き勝手にGPSをつけることが許容されたら

「なんか怪しい」

と警察が勝手に判断した人の車にはGPSつけ放題

これが不適切な捜査となるのは明らか

 

この点に関しては

昨年、最高裁判所は

裁判所の発布する令状なしで行うGPS捜査は違法

と判断しました

これにより

令状なしのGPS捜査はアウト!

という点は確定しています

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『2017年3月15日 毎日新聞(引用)

裁判所の令状なしは違法…最高裁が初判断

捜査対象者の車などに全地球測位システム(GPS)端末を付けて居場所を把握する捜査の違法性が争われた刑事裁判の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は15日、GPS捜査は強制捜査に当たり、裁判所の令状を取得せずに行った警察の捜査は刑事訴訟法に違反するとの初判断を示した。最高裁が警察の捜査手法を違法と認定するのは異例。

最高裁の全裁判官15人で構成する大法廷は、法律上重大な問題や憲法違反の有無を審理するが、今回は憲法判断は示さなかった。

上告審で弁護側は「GPS捜査はプライバシー侵害の危険を必ず伴い、令状が必要な強制捜査に当たる」と主張。捜査と関係ない位置情報も蓄積されるため、現行の検証令状を取得した場合でも許されないと強調し、「警察の捜査は憲法が定める令状主義や適正手続きの保障を無視している。厳格な要件を課す立法が必要だ」と訴えた。

これに対して検察側は「公道などを移動する車が対象で、プライバシー保護の必要性は高くなく任意捜査に当たる。検証令状を取得して実施した例もあり、現行法で対応が可能。憲法違反や憲法解釈の誤りはそもそも存在しない」と反論していた。

大法廷で審理されたのは、事務所荒らしを繰り返したなどとして窃盗罪に問われた大阪府の男(45)の公判。大阪府警は2013年5~12月、男と共犯者の車やバイク計19台にGPS端末を付けて位置情報を取得した。大法廷はGPS捜査を違法と認める一方で、捜査で得られた証拠を除いても被告の有罪は維持できるとして懲役5年6月とした1、2審判決を支持し、弁護側の上告を棄却した。』

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今回の千葉地裁の判決は

このケースとは異なって裁判所の令状を得てGPSを取り付けた事案です

強制採尿、捜索、逮捕など

令状があれば捜査機関は無双ともなりそうですが

必ずしもそうではありません

 

令状を得ていても

GPSをつけることによるプライバシー侵害がやはり大きいことには変わりありません

しかも、令状をもらっておけば

被疑者の乗りそうな車全部に

365日GPSをつけ続けて監視しても良いのか

このような問題意識もあります

 

そして、最高裁判所も

先ほどの判決で

GPS捜査は

『令状を得ていても適法性には疑義がある』

という趣旨の判示をしています

 

要は令状あってもアウトじゃない?

GPS捜査はともかくダメなんじゃない?

という問題提起をしていました

 

そして最高裁の裁判官は

かなり限定的な場面でだけ使うべき

という意見を添えています

 

このような背景があって

裁判所の令状を得たGPS捜査は適法なのか

という問題が注目されていたのです

 

そして、今回、千葉地裁は

『令状ありのGPS捜査について「適法性について疑義がある」とした上で

今回の捜査に関しては

事前に(裁判所の)審査を受けて令状の発付を受けるなどしており、令状主義を潜脱(せんだつ)する意図はなかったこと

先の最高裁判決前の捜査だったこと

などから「重大な違法はなかった」

と判示したとのことです。

 

これはちょっとわかりづらいので、簡単に説明します。

今回の裁判で弁護人の主張のロジックは恐らく

GPS捜査は違法

違法な捜査によって得られた証拠は刑事裁判では有罪の根拠にしてはいけない(違法収集証拠排除)

被告人を窃盗で有罪にするための証拠が不十分だから無罪

というものだと思います。

 

この違法収集証拠排除というルールが少しややこしいのですが

ざっくり解説します

まず違法なことがあれば、派生した証拠全てが排除されるわけではありません

 

例えば、車に隠されている覚醒剤を見つけるに際して

無理矢理車の鍵を抜いて奪った

被疑者のポケットに勝手に手を入れた

被疑者を、警察官4人で囲んで逃さないようにした

のように、本来であれば、令状がなければ許されないような強制処分を、令状なくやってしまったような場合

これらの行為は違法と判断される可能性があります

 

ただ、裁判所は

どんなレベルであっても違法なことをやったらアウト!

違法なら関連証拠全て証拠排除

という判断はしません

 

最高裁判例が示した基準は

「令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定される」(最判昭和53.9.7)

 

なんだか難しいですが

要は重大な違法がある場合は証拠排除

そうでもないときは違法だけど証拠自体は使っていいよ、有罪の根拠にしていいよ

という基準です

 

この基準を踏まえて今日の千葉地裁判決を見ていただくと

どういう判断だったかはわかりやすいと思います

『令状ありのGPS捜査について「適法性について疑義がある」とした上で

今回の捜査に関しては

事前に(裁判所の)審査を受けて令状の発付を受けるなどしており、令状主義を潜脱(せんだつ)する意図はなかったこと

先の最高裁判決前の捜査だったこと

などから「重大な違法はなかった」

との判断したのが今回の判決

 

昨年の最高裁判決と同様に

GPS捜査の適法性については疑義がある

つまり違法の可能性はあるんだけど

諸々の事情を踏まえると

そんなに違法の程度は重大ではないよね

だから証拠排除まではしません

→十分な証拠があるから有罪に

という判断になったようです

 

控訴を弁護人はすると思います

この判断は初の判断なので今後の裁判への影響も大きいと思います

 

なお、警察庁は、最高裁判決の後に、

GPS捜査をやめるよう通達を出しているとのことなので

理論的には今後はGPS捜査のトラブルは生じない「はず」です。

 

しかし、こっそりつけたりはする可能性はまだあるように思いますが…

Nシステムのように、設置してるのに

「存在しない」

と言い続けるケースもありますし

 

いずれ、控訴審にも注目して行きたいと思います。

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