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 新築した自宅に、ドアやサッシがスムーズに開閉できない、雨水が染み出す、リビングの床が鳴る等の問題があります。このような欠陥住宅に関する問題についての責任は誰を相手にして追求すればよいのでしょうか。

弁護士からの回答

弁護士からの回答

 契約が請負契約か売買契約かによって異なりますが、売主や施工業者、建築士などに対して責任の追及をすることができます。

解説

欠陥住宅問題の責任追及

住宅を購入する場合、注文住宅を建築する(請負契約の場合)か建売住宅を購入する(売買契約)かのどちらかとなるのが通常です。どちらの場合であるかによってその責任追及の構成が異なります。

請負契約の場合

請負契約の場合は、大きく分けて①請負人(施工業者)に対して責任を追求する方法、②建築士に対して責任を追及する方法、③部材供給者に対して責任を追及する方法、④建築主事・検査主体に責任を追及する方法があります。

⑴ 請負人(施工業者)に対して責任を追及する方法
①瑕疵担保責任

 請負人は仕事の目的物である建物に瑕疵がある場合には瑕疵担保責任を負います。そのため、建築した建物に瑕疵がある場合には、請負人に対し、修補を請求するか、修補に代えて損害賠償を請求することができます。

②債務不履行責任

 基本的には建物が完成した後は上記の瑕疵担保責任で対処すべき問題であり、債務不履行責任は問えないとされています。しかし、重大な瑕疵が存在する場合で、瑕疵担保責任しか問えないとした場合、除斥期間や解除の点で注文主に不当な結果となってしまう場合などには例外的に認められることもあります。

③不法行為責任

 建設業者は建設業法や建築基準法令に従って建物を建築しなければなりません。そのため、それらの法令に違反した建物を建築した場合には不法行為責任を追求することができます。

⑵ 建築士に対して責任を追及する方法
①設計に関する責任

 建築士は法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するように建物を設計する義務を負います。そこで、そのような義務に違反して建物を設計した建築士に対して、債務不履行責任ないし不法行為責任を追求することが可能とされています。

②工事監理に関する責任

 建築士は工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、ただちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告する義務を負うとされています。そのため、この義務に違反した建築士に対し、債務不履行責任ないし不法行為責任を追求することができます。

③名義貸しの責任

 最初から工事監理をするつもりがないのに、工事監理者として名義だけを貸した建築士に対し、不法行為責任を追及することができます。

⑶ 部材供給者に対して責任を追及する方法

 住宅そのものは製造物責任法における製造物とはされていませんが、住宅を構成する部品については製造物にあたるとされています。そのため、欠陥が住宅を構成する部品に起因している場合には、製造物責任を追及することが可能な場合があります。

⑷ 自治体に対して責任を追及する方法

 

売買契約の場合

 売買契約の場合は、大きく分けて①売主に対して責任を追求する方法、②施工業者に対して責任を追及する方法、③建築士に対して責任を追及する方法、④部材供給者に対して責任を追及する方法、⑤建築確認・検査主体に責任を追及する方法、⑥仲介業者に対して責任を追及する方法があります。

⑴ 売主に対して責任を追及する方法
①瑕疵担保責任

 売主は売買契約の目的物である建物に隠れた瑕疵があった場合には瑕疵担保責任を負います。そのため、購入した建物に瑕疵がある場合には、請負人に対し、損害賠償を請求することができます。
 解除の点で注文主に不当な結果となってしまう場合などには例外的に認められることもあります。

②不法行為責任

 売主が当該建物に瑕疵があることを知りまたは容易に知り得たにもかかわらず、これを秘匿して売却した場合などは売主に対し不法行為責任を追及することができます。

⑵ 施工業者に対して責任を追及する方法

 建設業者は建設業法や建築基準法令に従って建物を建築しなければなりません。そのため、それらの法令に違反した建物を建築した場合には不法行為責任を追求することができます。

⑶ 建築士に対して責任を追及する方法
①設計に関する責任

 建築士は法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するように建物を設計する義務を負います。そこで、そのような義務に違反して建物を設計した建築士に対して、債務不履行責任ないし不法行為責任を追求することが可能とされています。

②工事監理に関する責任

 建築士は工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、ただちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告する義務を負うとされています。そのため、この義務に違反した建築士に対し、債務不履行責任ないし不法行為責任を追求することができます。

③名義貸しの責任

 最初から工事監理をするつもりがないのに、工事監理者として名義だけを貸した建築士に対し、不法行為責任を追及することができます。

⑷ 部材供給者に対して責任を追及する方法

 住宅そのものは製造物責任法における製造物とはされていませんが、住宅を構成する部品については製造物にあたるとされています。そのため、欠陥が住宅を構成する部品に起因している場合には、製造物責任を追及することが可能な場合があります。

⑸ 自治体に対して責任を追及する方法

 設計上の瑕疵を見落として建築確認を行ったり、手続上違法な建築確認が行われた場合には、地方自治体に対して国会賠償請求をすることが考えられます。

⑹ 仲介業者に対して責任を追及する方法

 仲介業者は住宅関連事業者として、重要事項説明義務や重要事項説明にあたっての調査義務を負い、また、購入するか否かの判断にあたって重要な影響を及ぼすような事項の不告知や不実告知が禁止されています。そのため、これらの義務に違反して、欠陥があることや建築基準法令違反の事実を知っていたにもかかわらず説明しなかった場合や、欠陥について容易に調査しうるにもかかわらず、その調査を怠った場合には、仲介業者に対して債務不履行責任ないし不法行為責任を追及することができます。

弁護士に依頼した場合

(1)契約書、設計図書の確認、依頼者からの事情聴取等を行い、法的責任追及の可能性をまずは検討します。
(2)専門家である建築士による予備調査に同行し、建築士と連携して、実際の欠陥の状況を把握します。
   併せて法的責任追及について具体的に検討します。
(3)業者に対し、内容証明郵便等により損害賠償を請求します。
(4)証拠の整理、訴状の作成等の訴訟提起の準備をします。