解説
配置転換とは
配置転換(配転)とは、同一企業内における労働者の勤務地又は職種を変更する人事異動のことです。
そのうち、職種の変更を「配置換え」、勤務地の変更を「転勤」と呼んでいます。
配転に関する法律の規定はないため、配転命令権については、判例により、
ⅰ)就業規則等に配転命令ができるとの規定があること、
ⅱ)過去に頻繁に配転が行われていること、
ⅲ)勤務地限定の合意が存在しないこと、
の要件を満たせば、使用者は従業員の個別的同意なしに配転命令権を有するとされています(東亜ペイント事件・最判昭61.7.14判時1198-149など)。
また、判例は、夫婦別居をもたらすような転勤命令についても、業務上の必要性が十分に認められ、労働者の家庭の事情に対する配慮(住宅・別居手当、旅費補助など)がなされているような場合は、有効であると判断しています(帝国臓器製薬事件・2審東京高判平8.5.29労判694-29;最判平11.9.17労判768-16)。