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私は、運送事業を営む会社に期限の定めなくドライバーとして採用され、以後現在に至るまでドライバーとして就労してきました。これまでは毎年昇給があり、家族手当、住宅手当も支給されていたのですが、会社から突然、経営不振のため、55歳以上の従業員については、次年度から就業規則と賃金規程を変更すると言われました。それによると、固定給については、これまで30万2,000円(基本給30万円、皆勤手当2,000円)であったのが、20万円(職務給10万円、技能給3万円、精勤手当3万円、1キロメートル走行する毎に10円のキロ手当の実際平均支給額4万円)となり、また、生活給については、これまで3万円(家族手当1万円、住宅手当2万円)であったのが、1万5,000円(家族手当1万5,000円、住宅手当は廃止)となります。 これにより、賃金月額は33万2,000円から21万5,000円になり、約35%もの減額ということになります。このような急激な賃金カットは、法的に許されるのでしょうか?

弁護士からの回答

弁護士からの回答

使用者は、原則として、労働者との合意なしに、就業規則の変更によって労働条件の切下げ(賃金カットなど)をすることはできません(労働契約法9条)。
ただし、就業規則の作成・変更に合理性が認められ、かつ、法律上必要な手続がとられている場合は、例外的に労使の合意がなくとも、就業規則の変更によって労働条件の切下げ(賃金カットなど)ができると解されています(同法10条、判例も同旨)。
しかし、一般には、会社が倒産の危機に瀕している、業績悪化による雇用調整が必要であるなどといった状況に至っていない場合には、激変緩和の代償や経過措置を施した上でない限り、一部の労働者に対し、一方的に急激な賃金カットをすることは許されない可能性が高いといえます。

解説

賃金カットとは

使用者は、原則として、労働者との合意なしに、就業規則の変更によって労働条件の切下げ(賃金カットなど)をすることはできません(労働契約法9条)。
ただし、就業規則の作成・変更に合理性が認められ、かつ、法律上必要な手続がとられている場合は、例外的に労使の合意がなくとも、就業規則の変更によって労働条件の切下げ(賃金カットなど)ができると解されています(同法10条、判例も同様の判断をしています)。
しかし、一般には、会社が倒産の危機に瀕している、業績悪化による雇用調整が必要であるなどといった状況に至っていない場合には、激変緩和の代償や経過措置を施した上でない限り、一部の労働者に対し、一方的に急激な賃金カットをすることは許されない可能性が高いといえます。

賃金カットの対応方法

(1) 証拠の収集

まずは、変更前及び変更後の各就業規則、過半数労組または過半数代表者の意見書(コピー)を入手する必要があります。また、会社に対し、就業規則の変更の必要性について、文書で説明を求めるべきでしょう。

(2) 会社との交渉

まずは、会社に対し、改めて賃金切下げの撤回を要求しましょう。

(3) 裁判

交渉によって解決しない場合は、裁判所を通じての解決を考えます。
労働審判を利用すれば、短期間(原則3回以内の審理を経て決定が下されます)で紛争が解決できる可能性があります。
請求額が60万円以下の場合は、簡易裁判所での少額訴訟の利用が可能です。少額訴訟は、原則として1回の審理のみで判決が下されるという簡易迅速な手続です。ただ、期日までに充分な証拠を準備しなければならず、また、その証拠の種類についても制限がありますので、十分な注意が必要です。

弁護士に依頼した場合

(1) あなたに代わって、証拠収集や会社との交渉を行います。

 就業規則が誤った事実関係を基に変更されていたり、労働者からの意見聴取、労働者への周知が不十分であったりする場合もありうるので、会社への反論・反証のために必要となる資料を可能な限り収集します。その他、あなたの事案にとって必要な証拠を把握し、あなたと協働して、証拠収集を迅速に行います。
 また、弁護士が法的な証拠を示し、証拠を揃えて請求した場合、それまで交渉に応じてくれなかった会社側が態度を変え、交渉に応じてくれることもあります。

(2) あなたに代わって、裁判を起こします。

 会社側が任意に要求に応じない場合は、裁判所を通じて、解決を図ります。裁判手続の書類は、事実関係及び証拠を整理し、法律の要件に沿って作成する必要がありますが、これらを最も的確に作成できるのは弁護士です。また、あなたのケースに最も適した手続を選択し、迅速にあなたの要求の実現を目指します。