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昨日の勾留延長請求却下

そして、検察官の準抗告棄却に対する

検察官の一手が打たれました

 

カルロスゴーン氏を特別背任罪で逮捕

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6307501

 

再逮捕の可能性については

逮捕~勾留~勾留延長~起訴~起訴後勾留~再逮捕

の流れと共に

昨日のブログで簡単に説明させていただきました。

https://www.ichifuna-law.com/10859/

【特別背任罪とは?】

刑法にも背任罪がありますが(刑法247条、5年以下の懲役または50万円以下の罰金)

会社の取締役などは、会社経営などに重大な影響を持ち、かつ株主や従業員からの信頼が厚いので

そのような地位にある者による背任を特に重く処罰する規定(特別背任罪、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの併科 (※両方くらうということ))が会社法に設けられています

 

(取締役等の特別背任罪) 第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一 発起人 二 設立時取締役又は設立時監査役 三 取締役、会計参与、監査役又は執行役 四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者 五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者 六 支配人 七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人 八 検査役

 

背任といってもわかりづらいので、簡単に要件を説明しますと

①取締役などの地位にある者が

②自分もしくは第三者の利益を図ったり、会社に損害を与える目的で

(図利加害目的、これが主目的であることが必要)

③任務違背行為を行い(※1)

④会社に財産上の損害を与えること(※2)

になります

 

※1 任務違背行為

これは結構、司法試験受験生泣かせのよくわからない要件です

誤解を恐れずに簡単にいうと

会社との信頼関係を破って

自身に与えられている権限を濫用的に行使することです

 

例えば、代表取締役であれば、

ちょっとしたお金の借入や、お金の弁済などは自身の判断でできます

また、会社として必要な物品の購入もできます

コンサルティングやPRを業者に依頼できます

つまりこれらの権限を代表取締役は持っています

 

しかし、これらの権限を濫用する場合

自分が個人的に使うためのリゾート会員権を買って、

会社経費で遊びまくったり

自分が個人的に使いたいだけの備品を購入するような場合

大して経験もスキルもない身内にコンサルティング業務を頼む

などは、権限はあるんだけど、濫用的な権限行使として任務違背行為にあたり得ます

 

※2 財産上の損害

この損害は、法律的な観点ではなく、経済的な観点から損害の有無を判断します

 

例えば、潰れそうな親族会社に100万円の商品を売った場合

法律的には、100万円の代金債権を会社が持つことになり

損得がないように見えますが

経済的には回収不能なので不良債権を抱えさせるということになり

損害があるという判断になります

 

 

 

 

【カルロスゴーン氏の捜査の焦点は?】

昨日までの被疑事実は

金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)でした

 

※ 有価証券報告書に虚偽記載を行った場合
提出者に対しては10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれらの併科(両方喰らうということ)
提出した法人に対しても7億円以下の罰金

 

この犯罪の捜査の焦点は、

そもそも有価証券報告書に記載(計上)しなければならない事項なのか

有価証券報告書への記載を指示したのかどうか

有価証券報告書の記載が虚偽だという認識があったのか

などになります

 

一方、特別背任の場合は、

上記の要件の有無です

報道によると

再逮捕容疑は08年10月ごろ、私的なスワップ取引で発生した約18億5千万円の損失を負担する義務を日産側に負わせるなど、損害を与えた疑い。

とのことなので

 

①取締役などの地位にある者が

⇒ここは問題なし

 

②自分もしくは第三者の利益を図ったり、会社に損害を与える目的で

(図利加害目的、これが主目的であることが必要)

⇒損失をなぜ日産に負担させることをしたのか

自分の損切りが主要な目的だったのか

 

③任務違背行為を行い

⇒そもそも私的なスワップ取引があったのか

具体的にどのような処理をしたのか

その後損失を再度引き受けた理由は何か

これらとそれらについてのゴーン氏の認識

 が捜査によって明らかにされていく必要があります

④会社に財産上の損害を与えること

⇒会社に経済的な損失が生じたのかどうか

 損失を生じさせる認識があったのか

 

という点が問題になってきます

 

つまり、有価証券報告書の虚偽記載と

特別背任罪の成否は

・必要な証拠

・捜査しなければならない事実関係

・カルロスゴーン氏らから聴取しなければならない認識の中身

がかなり異なってきます

 

 

今回、裁判所は、特別背任での逮捕状請求に応じました

昨日の夜の準抗告棄却を踏まえて

検察庁は再逮捕の準備をして、裁判所に令状請求をしたのだと思います

 

今後、弁護側としては、

逮捕状発布自体については争えないので

勾留請求が認められないよう阻止する活動(裁判官への意見書、裁判官との面接)と

勾留が認められてしまった後の準抗告

というかたちで争っていくことになります

 

裁判官には、適切な判断をしていただきたいです。