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何度見ても、心がはち切れそうになります。

小4の子供がここまで明確なSOSを出しているのに

教師も、学校も、教育委員会も、市も

誰も助けることができなかった

 

SOSを無視され、それだけではなく

加害者であり、もっとも恐れている父親に

信頼して書いたアンケートが開示されたときの絶望感は想像を絶します

 

この事件で、今日動きがありました

女児の母親も逮捕されたとのことです

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190204-00000506-san-soci

 

この母親は、暴行に加担していたり、暴行を一緒に行っていたのであれば、当然共犯者ですが

暴行をやめさせるための手段を尽くしていなかったというような場合も

傷害罪(傷害致死罪)の共犯としての責任を問われることがあります

 

娘を夫によって死亡させられたことに加え

DV被害を受けている夫止めなかったことを理由に

娘への傷害の共犯だといわれる状況は

母親にとっても地獄ではないかと思います

 

この逮捕によって、二つの問題が生じます

 

それは、

【母親が本当に傷害の共犯者なのか】

【両親が逮捕されることにより、野田市の責任を問う立場の人間が事実上いなくなってしまうのではないか】

という点です

 

【母親が本当に傷害の共犯者なのか】

共犯には様々なものがあります

一緒に直接暴行を行うような実行共同正犯

ヤクザの親分が殺せと指示して子分が殺した場合の親分が共謀共同正犯

詐欺の仕方を教えるような場合は教唆犯

そして、空き巣に入るときに、玄関をこじ開けるバールを貸したり、家の周りで見張りをするような場合は幇助犯

今回の母親のように

虐待をしている夫やパートナーを止めなかった母親は

この幇助犯に当たるかどうかが問題になります

ただ法律的に難しいのは

母親が「何もしていない」というところです

バールを貸したり

見張りをしているなら

幇助(=手助け)をしてるかどうかはわかりやすいのですが

なにもしなかったこと(=不作為)

をもって幇助犯といえるのかというところが

かなり問題になります

この点を簡単に解説します

一般的な考え方としては

①被告人が保証人的地位にあること

②保証人が一定の犯罪阻止行為に出ることが可能・容易であること

③保証人の不作為によって正犯の犯罪実行を容易にしたといえること

という要件を満たす場合に

不作為の幇助犯が成立します

以下の横浜地裁の裁判例が参考になります

(長いですが、大切なので)

横浜地裁判決平成23年9月22日

「不作為による幇助犯は,正犯の犯行により侵害されようとしている人の生命,身体,財産等の法益を,法令,契約,先行行為に基づき,保護すべき立場にある者(以下『保護義務者』という。)に,正犯の犯行を容易にする不作為があった場合に成立する。

ここで,正犯の犯行を『容易にする』不作為の範囲が問題となる。これは,すなわち,保護義務者にとって,不作為による幇助犯における作為義務の範囲を画するものといえる。

正犯の犯行を防止(阻止ないし妨害)するために保護義務者がなし得る行為は多数想定できるところ,保護義務者が存在している状況で正犯の犯行がなされた場合には,上記の多数想定される行為の不存在によって,正犯の犯行は防止されなかったのであるから,それをもって正犯の犯行が『容易になった』ともいえる。

しかし,これでは,保護義務者を幇助犯として処罰する範囲が広過ぎることは明らかであり,幇助犯が成立する不作為の範囲を限定する必要がある。

そこで検討するに,通常であれば行われるであろう正犯の犯行を防止し得る行為,すなわち,正犯が犯行を行う状況を観察する通常人であれば,保護義務者が当然行うであろうと想定する作為をしなかったため,正犯の犯行が防止されなかった場合にのみ,正犯の犯行を容易にする不作為があったとすべきである。

そして,保護義務者が当然行うであろうと通常人が想定する作為であるかどうかについては,保護義務者と侵害されようとする法益を有する者との関係,保護義務者による正犯者の犯行に先立つ関与の有無,程度のほか,保護義務者と正犯との関係,正犯の犯行の性質等,正犯の犯行時の状況,保護義務者の性格,能力,防止行為の性質,特にその難易等,さらには,これらの諸事情に関する保護義務者の認識の有無,程度も含め,個別,具体的な諸事情に基づき,一般的な見地から判断すべきである。

このようにして,正犯の犯行を防止し得る多数の作為の中から,保護義務者が当然行うであろうと通常人が想定する一定の作為のみが作為義務の対象となり,その作為をしなかった場合にだけ不作為による幇助犯が成立する。」

 

要件の検討

①被告人が保証人的地位にあること

→母親であればこの①の要件は満たします

ですので

②保証人が一定の犯罪阻止行為に出ることが可能・容易であること

→虐待によって抵抗ができないような心理状態に陥っていなかったか、物理的に抵抗が可能だったか

③保証人の不作為によって正犯の犯罪実行を容易にしたといえること

→近くにいただけなのか、一緒に叱責などしていなかったか、女児が逃げ出すのを止めたりしていなかったか

という要件をめぐる事実関係が鍵になると思います

報道によると

警察は、母親であれば、誰かに助けを求めたり、通報するなどの行為があって当然などとしたうえで、「ほかにも能動的な加担行為がある」としている。

当日に「廊下で立ってなさい」「正座しなさい。ごはん抜き」と話した

とのことです

前段は一般論ですが

後段の「能動的な加担行為」が

結果的に父親による虐待を容易にする行為

虐待を誘発する行為

を含んでいるのであれば

また「廊下で立っていなさい」

などの言葉が虐待を促進するような流れで発せられていたのであれば

③犯罪実行を容易にした

といいやすくなると思います

ただ、父親による継続的なDVによって

母親の判断能力が著しく落ちていたり

意思が制圧されて洗脳に近い状態だった

自分の身を守るために同調せざるを得なかったということもあるかもしれません

北九州監禁殺人事件で

被害者が他の被害者を加害していたこと

主犯が被害者を精神的に追い詰め洗脳していったことは有名です

これと同様・類似の事態が起きていた可能性も否定されません

母親は娘を守れなかったという後悔から

必要以上に自分を責める供述をしているかもしれませんし

警察の見立てに

ただただ同調しているかもしれません

検察警察には

母親の発する言葉を真に受けるのではなく

当時、母親と女児が置かれていた状況

父親によるDVの程度やそれによるPTSDの可能性なども踏まえ

本当に母親まで立件する必要のある事案なのかどうかを

慎重に判断してもらいたいです

【両親が逮捕されることにより、野田市の責任を問う立場の人間が事実上いなくなってしまうのではないか】

 

 今回の対応で一番ありえないと思うのが

虐待親(少なくとも虐待がうかがわれる親)に対して

野田市教育委員会が

秘密保持をうたっているはずのアンケートを開示したことです

このアンケート開示が今回の死亡に繋がったかどうかはわかりません

ただ、

父親の虐待をエスカレートさせた可能性、父親の虐待の端緒を与えた可能性があること

そして

女児が学校に対してすら

安心してSOSを出せない状況を作り出したことは

想像に難くありません

このような野田市の対応は

担当職員の処分に留まらず

被害女児の遺族からの国家賠償請求の対象になり得ます

しかし、被害女児の遺族

つまり相続人は

虐待をしていた父親と

今回逮捕された母親です

父親が野田市に対して

「娘の秘密を俺にバラしただろ」

という国家賠償請求をすることは考えられないため

野田市を責めるなら母親だと思っていました

しかし母親も虐待に加担していたという前提なると

母親が国家賠償請求を起こしても

母親と野田市の間で

虐待をエスカレートさせた責任や

死亡に関する責任の押し付け合いになる可能性が高いため

母親は国家賠償請求を躊躇するかもしれません

つまり今回の母親の逮捕で

一番得をするのは野田市の教育委員会かもしれません

母親逮捕の原因となる事実関係がまだあまり明らかになっていませんので

今後の報道などに注目していきたいと思います


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