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大学3年の皆さんは就活時期だと思います
この就活に関連した事件があったようです

住友商事の社員が
OB訪問に来た20代の女子大学生を居酒屋に誘ってイッキをあおるなどして泥酔させ、
女性が泊まるホテルのルームキーを盗んで室内に侵入し、わいせつな行為をしたとして
準強制性交罪(旧準強姦罪)で逮捕されました

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019032600908&g=soc

近時、似たような報道があったばかりです
大手ゼネコンの大林組の社員が
就職活動でOB訪問に来た20代の女子大学生をマンションの部屋に連れて行き、
わいせつな行為をしたとして、強制わいせつ罪で捕されました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190315/k10011850191000.html

「俺のいうこと聞かなければ就職できないからな」
という脅迫的な言動を用いて
性交渉などを強いれば強制わいせつや強制性交になるのは当然ですが
例えば
「俺のいうこと聞いた方が就職有利になるかもよ」
といった言動など
有利な地位を利用して(採用権限があるように装って),性行為に応じざるを得なくする行為
準強制わいせつ罪,準強制性交罪に該当します
(準強制わいせつ及び準強制性交等)
第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
((強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。)
そもそも住友商事の案件のように,酒を飲ませて泥酔させているのであれば
典型的な準強制わいせつ・準強制性交です
つまり抗拒不能に乗じ(意図的であれば抗拒不能にさせて)わいせつ行為や性交をしたということになります
ここで問題になるのは,
就活生と採用に影響力のある社員といった,一方の将来などに影響力を持っているかのような力関係下で
就活生が断るに断れず,性向に応じてしまったという場合
「抗拒不能に乗じ」もしくは「抗拒不能にさせ」たといえるのか
という点です
結論として,裁判所は多くの案件で
力関係を背景にした強引な性交については,
準強制性交罪(旧準強姦罪)を認めています
要は物理的には拒絶できるとしても,
これを拒絶すると何らかの災難や不利益が生じると勘違いさせて,
その災難を避けるためには性交を受け入れるしかないという状況に追い込んだときは
精神的な抗拒不能にさせた
という判断がなされています
そして,テレビ局の人事担当者を装って,
採用希望者(就活生)にわいせつ行為をした
という本件に近い案件でも
裁判所は強制わいせつを認めています
※ 下部に参考判例を載せています
OB訪問は慣行としてかなり広く行われていますが
今回のような地位を利用したわいせつ行為などで表に出ているものは氷山の一角ではないかと思います
(僕自身も似た話を聞いたことがあります)
就職したいという夢や希望に乗じて,
特に女子学生を食い物にする行為は厳正に処分されるべきと思います。
参考になる判決です
○ 東京高判平成11年9月27日
「刑法一七八条にいう 抗拒不能 は 物理的 身体的な抗拒不能のみならず 心理的 精神的な抗拒不能を含み,たとえ物理的身体的には抗拒不能といえない場合であってもわいせつな行為あるいは姦淫行為を拒めば被害者の身近な者らに危難が生じるものと誤信させ,そ の危難を避けるためにはその行為を受け入れるほかはないとの心理的精神的状態に被害者を追い込んだときには心理的精神的な抗拒不能にさせた場合に当たるということができる。 そしてそのような心理的精神的状態に追い込んだといえるか否かはその危難の生じるとされた者と被害者との関係,被害者の年齢 生活状況などの具体的事情を資料とし,当該被害者に即し,その際の心理や精神状態を基準として判断すべきであり,一般的平均人を想定し その通常の心理や精神状態を基準として判断すべきものではない」
○ 東京地判平成20年2月8日
【事案の概要】
就職を希望している女性被害者らを就職希望先のテレビ局の人事担当職員を装って 欺罔して準強制わいせつ行為をした事案
【説明】
被告人の一連の言動によって 本件各被害者はいずれもまず被告人がそれぞれが現に就職を希望している各テレビ局の人事担当者でありその意向により各テレビ局の職員採用を行うことができる権限を有するものと誤認したこと,さらにまた被告人による前記のようなわいせつ行為を受忍することによって 各テレビ局に職員として採用されることが可能となる(逆に言えば,こうした行為を拒絶した場合には その採用が不可能ないしは困難となる。)ものと誤認するに至ったと考えられる。
そして 準強姦罪ないし準強制わいせつ罪における抗拒不能は正常な判断に基づく意思決定ができない状態をいうものと考えられるところ,相手方に対して自己の身分等について虚偽の事実を告げるなどした結果,相手方が具体的な事実関係について誤認を生じ,その結果として 性交渉やわいせつ行為を受忍する意思決定をした場合等においてはこうした判断の前提となるべき事実に誤認があるのであるから,その判断は正常な判断とは言えずしたがって このような欺罔行為によって被害者が錯誤に陥る場合も準強制わいせつ罪における抗拒不能に該当しうるものと考えられる。もっともわいせつ行為ないし性交渉をともなう関係の当事者間において,それぞれの意思決定の前提となる事実(各当事者の身上等を含めて)について各々が完全に正確な認識を持つとは限らずそこに何らかの誤認が存在することは 社会生活上あり得べき事態と言え,そのような誤認が相手方の言動で生じた場合に全てが準強制わいせつ罪等になるとは言えないであろうが 本件で認定した前記各事実によると,本件各被害者はその就職活動というその後のそれぞれの人生ないしは生活のあり方に重大な影響を及ぼすような場面に立っていたこと,また,被告人は本件各被害者が現実に就職を希望していた企業の人事担当者であることを装い,判示のような各種の言辞を申し向けたのであり,その結果として本件各被害者は被告人の意向を受け入れることによって,自己の就職という希望が叶えられるという具体的な事実関係につき誤認を生じていたのでありかつ被告人の言動は当初からこうした誤認を生じさせるために極めて具体的に虚偽の事実を語るものであったと認められる。
こうした事情を考慮すると 本件各被害者は 事実を誤認した結果として 準強制わいせつ罪でいうところの抗拒不能な状態にそれぞれ陥ったものと考えるべきである。
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