総武本線市川駅南口から徒歩1分。無料法律相談のご予約は 0120-413-127

【控訴取下げが無効であるという申立】

中学生男女2名が殺害された寝屋川市中1男女殺害事件

山田浩二被告人には昨年12月に裁判員裁判を経て死刑判決が言い渡されました(弁護側は傷害致死だと主張していたようです)

 

その後、山田浩二被告人は控訴をしましたが

自ら取り下げました

 

この取下げにより、法律上は第一審の死刑判決は確定することになります

 

もっとも、この控訴取下げを行うという被告人の意思表示に瑕疵がある場合

要は、極度の精神不安定により判断能力が落ちていた、騙された、脅されたというような

取下げを行おうという意思決定の過程に大きな問題がある場合

この取下げが無効であるとして、争われることがあります

 

今回の寝屋川市中1男女殺害事件の山田浩二被告人も

控訴取下げの意思決定に問題があったとして、弁護人が控訴取下げが無効であるとする申し入れを行ったとのことです。

日経

『2015年8月に大阪府寝屋川市の中学1年生の男女が殺害された事件で、控訴を取り下げて一審・大阪地裁の死刑判決が確定した山田浩二死刑囚(49)の弁護人が30日付で、大阪高裁に取り下げの無効を求める申し入れをしたことが31日までに分かった。』https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45500750R30C19A5AC1000/

 

毎日新聞より引用(山田浩二被告人)

 

【控訴取下げの向こうはどうやって争うの?】

 

刑事訴訟法上、『控訴取下げを争う裁判』というドンピシャの規定はありません

 

もっとも、

控訴の取下げは即第一審判決の確定を意味しますので、

控訴の取下げの意思決定に問題がある場合に、

その取下げの無効(=控訴審を開いて、控訴審の判決をもらう)を争う手段は確保されている必要があります

 

実際、過去の裁判においても

・控訴取下げ時点で、被告人に訴訟能力がなかった

・被告人の意思決定に錯誤(重大な勘違い)があった

などとして弁護人が控訴取下げの撤回や無効を争った件があります

 

その場合の争い方としては

控訴取下げを無効(撤回)として扱うよう求める上申書を弁護人が提出して、高裁による職権での控訴取下げの有効性判断を求める(控訴審が判断)

例:名古屋高裁 平成11年(う)第376号 窃盗被告事件

・訴訟終了宣言決定に対する異議申立事件という控訴審とは別の裁判を提起する

例:東京高裁 平成4年(け)第1号 訴訟終了宣言決定に対する異議申立事件

 

※ 事件番号の

(う)というのは、控訴事件

(け)というのは、決定に対する異議申立事件

になります

 

報道を見る限り、おそらく今回は前者の手続がなされたものと思います

 

【最後に】

控訴の取下げが認められると

刑事訴訟手続きやその他の関連訴訟手続、被害者遺族の感情等に対して

非常に大きな影響が出ることになります

 

ですので、控訴取下げをすることで、どのような効果が生じるのか

(今回であれば死刑が確定して、将来的に死刑執行を受けるということ)

を理解した上で、被告人が控訴取下げをしているのであれば、

基本的には安易な撤回は認めるべきではありません

 

もっとも、特に死刑判決を受けた被告人の精神状態は、ある意味極限状態であるものと思われますので

自身の意思や状況を適切に考慮した判断ができない場合も十分あり得ると思います

 

また、裁判手続による真実発見という刑事訴訟の目的も

果たされないことにもなりかねません

 

昨年色々なイベントでご一緒させていただいた月刊「創」の編集長の篠田博之が公開した

山田浩二被告人との手紙のやりとりを見る限り

極限状態で、誤った判断をした可能性も十分にあるように思います

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20190521-00126811/

 

山田浩二被告人が、控訴取下げが無効であると主張する根拠について

まだわからない部分が多いですが

高裁には、四角四面な判断ではなく、

しっかりとした判断をしていただきたいと思います