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実刑確定者が刃物を持って逃走するという恐ろしい事件が起きています

https://www.asahi.com/articles/ASM6M5T7RM6MULOB011.html?ref=yahoo

(小林誠受刑者の写真 朝日新聞)

 

この事件の問題点は

1 実刑確定者を4か月も収監していないこと

2 逃走されていること

3 逃走されてから4時間も周辺住民への情報共有がなされなかったこと

です

 

1 実刑確定者を4か月も収監しないことはある?

 

法律の建前では

まず、刑の言い渡しを受けたら検察庁は受刑者を呼び出します

この呼び出しに応じて受刑者が出頭した場合には、刑事施設(要は刑務所)に送ります

 

一方、この呼び出しに応じない場合や逃走した場合など出頭意思がないことが明らかな場合は

検察官は「直ちに」収容状を発付して、捕まえに行きます

 

今回、2月に窃盗、傷害、覚せい剤取締法等で3年8月の実刑判決が確定しているのですから

検察庁は、小林誠受刑者に、2月末から3月上旬には

検察庁に出頭するようにという連絡を、手紙か電話でしているはずです

 

これに対して、小林誠受刑者は長きにわたり出頭を拒んできたものと思われます

報道によると

腰が痛い、金がない

などを、理由としていたようですが

およそ合理性のない理屈であることは明らかでしょう

 

そうであれば、少なくとも3月の時点で任意の出頭に応じる意向がないことは明らかなわけですから

検察庁はその時点で収容状を発付して、捕まえに行くべきだったと思われます

 

しかし、何か特別な事情があったのかもしれませんが

恐らくは漫然と4か月も収監せずに受刑者を社会内で生活させていたということになります

 

 

【保釈されている場合の収監についての豆知識】

 

起訴された後、

裁判所に対して保釈保証金を支払って

身柄拘束を解かれることを保釈といいます

 

この保釈は、第一審であれば判決の言い渡し時に効力を失いますので

実刑判決が出れば、その場で即時収監されます

 

一方、控訴審では、

法律の建前上、被告人は裁判に出頭しなくていいため

実刑判決の言い渡しによって直ちに収監されるわけではありません

 

判決の言い渡し後に、収監するための呼び出しをすることになります

 

今回の小林誠受刑者も、控訴審で保釈されている状態での実刑判決事案なので

判決の言い渡し後、呼び出しが行われていたパターンだと思います。

〜ここからは難しめ〜

なお、控訴審でも保釈の効力は

判決の言い渡しにより切れますので

確定前に収容の呼出連絡がいきます

保釈保証金は

保釈の効力が切れた後には没収できないので

判決言い渡し後、確定前に保釈条件違反を行なった場合

確定時点で条件違反がなくなっていれば

没収できません(最高裁の判断)

なお、判決確定後に逃亡した場合は

確実に保釈保証金が没収されることになっています(刑訴法の規定)

 

 

2 そんな簡単に逃走されるもの?

 

千葉で起きた事件としては、リンゼイアンホーカーさん殺害事件の

市橋達也受刑者を思い出される方も多いかもしれません

 

彼も、自宅に捜査で赴いた警察官5~6名ほどを振り切って逃走し

その後2年にわたり逃走を続けました

 

今回も、小林誠受刑者の居住地へ、検察官、検察事務官らと2名の警察官で赴いたようです

 

何か危険なことがあった場合に備えて、警察官を同行させていたのだと思いますが

当然に意味想定しておかなければならない

・刃物等凶器を用いた暴行

・警察官らをかいくぐっての逃走

という2つの抵抗をいずれも受け、結果的に逃走を許してしまいました

 

油断があったとしかいいようがありません

 

刃物を持った受刑者は

何をしてもおかしくはありません

 

このような受刑者の逃走を許した検察庁の対応に問題があることは明らかです

【なぜ逃げたのか?】

なお、なりふり構わず逃げたことには違和感を感じます

刑務所経験があり

包丁まで持って罪を重ねてまで逃げる理由は

覚せい剤を抜くなど

収監を免れる以外の他の目的があったのではないかと思います

血や尿から抜くには遅くとも5日あればよいです

髪の毛は1ヶ月ほど必要ですが

髪を切っていれば…

 

3 周辺住民への情報共有が4時間もなされなかったこと

 

ある意味これが今回一番の検察庁の落ち度だと思います

 

小学校など

刃物を持った受刑者が潜り込んだ場合の危険が

極めて高い施設等に対して

早期の情報共有が全くなされなかったという点です

 

4時間後にマスコミなどに情報が流れましたが、

4時間も経ってしまってからの情報開示は無意味であることは明らかです

 

本当に、二次被害が生じなくてよかったと思います

 

恐らく、現場に出向いた検察官一個人の判断では

如何ともしがたい事態が生じてしまったので

上司に相談をしたり、指示を仰いだり、意思決定を委ねていた結果

だらだらと時間がかかったのだと思われます

 

検察庁内での意思決定で時間がかかり

適切な対応・指示命令を即座に取れなかったというのは

組織としては愚の骨頂だと思います

 

 

最後に

 

未だに小林誠受刑者は逃走中です

 

身体拘束を受ける前の逃亡なので

単純逃亡罪や加重逃走罪にはなりませんが

刃物を持って公務員に迫る行為は公務執行妨害罪等に該当しますし

車が盗難車であれば、窃盗も成立します

 

※1

その後、公務執行妨害罪での逮捕状がとられ、指名手配にかけられたようですが

昨日の時点でできた対応のはずです

※2

単純逃走罪は

勾留、収容されてからしか成立しません

加重逃走罪は

単純逃走のケースもしくは逮捕状執行の際に

暴行や損壊、共謀をして場合です

いずれも本件では成立しません

なお、今回の件を踏まえて

『保釈を制限すべき』

という議論がありますが、それは少し違うと思います

保釈保証金は裁判への出廷の確保が目的ですが

今回の事案では裁判への出頭は確保されていたわけですから

保釈させたことが直接の問題ではありません

判決確定後の収容の運用が問題なのだと思います

人質司法(ともかく罪を認めないと身体拘束を続けるぞと脅して自白を取る捜査スタンス)を排除して

保釈の拡大の流れは止めるべきではないと思います

 

今後、つかまるまでの間に

他の犯罪にも手を染める可能性がありますので

できるだけ早く逮捕されることを祈ります

 

この件で、今朝

日本テレビ「ZIP!」から取材いただきました

 

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TBSビビットにも出演しました

 

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アトム市川船橋法律事務所弁護士法人

 

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