総武本線市川駅南口から徒歩1分。無料法律相談のご予約は 0120-413-127
2019年2月19日のニュースで大きく取り上げられた

「離婚慰謝料」を不倫相手に請求できないという最高裁初判断のニュース

不倫相手には請求できず=離婚の慰謝料、初判断-最高裁

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190219-00000071-jij-soci

 

友人から

「不倫しても慰謝料払わなくていいってこと?」

と聞かれましたがそれは大間違いです

 

不倫をしたら、しっかりと慰謝料を取られることになりますので、気を付けてください!

 

じゃあ、今回の最高裁判決は何を請求できないと判断したのでしょうか?

 

不倫(不貞)の慰謝料には、今まで大きく2種類あるとされてきました

 

そのあたりについて簡単に解説させていただき

今回の最高裁判決の内容についても解説させていただこうと思います

 

【2種類ある不貞に対する慰謝料】

1つめは、不貞慰謝料(離婚原因慰謝料)

これは不貞行為をしたこと自体に対する慰謝料です

そして、不貞は離婚の原因となり得る行為(民法770条1項1号)ですので

そのような行為をしたこと自体が不法行為にあたり

慰謝料請求の対象となるのです

 

この場合認められる慰謝料は

不倫をされたこと自体に対する精神的苦痛への慰謝料

(やや概念的ですが)

 

誤解を恐れずにいえば

「不倫されて辛い」に対する慰謝料です

 

これに対して

2つ目は、離婚慰謝料(離婚自体慰謝料)

 

これは不貞の結果、離婚せざるを得なくなったことに対する慰謝料です

不貞は離婚の原因となり得る行為(民法770条1項1号)ですが

まさに不倫によって離婚にまでなってしまった

夫婦関係が破壊されてしまったことに対する慰謝料請求です

 

この場合に認められる慰謝料は

婚姻関係を破綻させ離婚に至らしめられたという精神的苦痛に対する慰謝料

 

誤解を恐れずにいえば

「離婚せざるを得なくなって辛い」に対する慰謝料です

 

 

この二つの慰謝料の違いとして大きなものとしては

慰謝料の金額があります

 

一般的な慰謝料相場としては

不貞慰謝料(離婚原因慰謝料)< 離婚慰謝料(離婚自体慰謝料)

となります

 

僕の経験的な金額でいうと

不貞慰謝料は100~200万の間(なかなか200万まではいかない)

離婚慰謝料は150~300万の間(離婚の場合は複合的な原因がある場合が多いので、300万円にまでなるのは不貞以外にDVがあったり、ネグレクトがあったりというケースが多い)

という感じです

 

このように

不貞慰謝料(離婚原因慰謝料)と

離婚慰謝料(離婚自体慰謝料)には金額的な違いがありますが

もう一つ重要な違いがあります

 

それは消滅時効(不法行為は3年で消滅、民法724条)の問題です

 

法律は

被害者(不倫をされた側)が

「損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき」

時効によって消滅する

と規定しています

 

その結果、

不貞慰謝料は

「不倫していることが判明してから3年」

となり

 

これに対し離婚慰謝料は

「実際に離婚したときから3年」

となります

 

つまり、

不倫発覚から3年以上経過していると

不貞慰謝料は消滅時効にかかり、請求できないということになります

 

今回の最高裁判決は、この2つ目の問題に関連する判断だったのです

 

では今回の最高裁判決を解説させていただきます

 

【事案】

原告夫は元妻と1994年に結婚し、2人の子どもをもうけた

2010年に妻の不倫が発覚

2015年に離婚

同年、被告男性(不倫相手)に慰謝料など495万円の賠償を求めて提訴した

第1審、第2審とも不倫相手に慰謝料など198万円の賠償を命じた

 

最高裁第3小法廷宮崎裕子裁判長)の判断】

被告男性に対する慰謝料請求は認められない(原審破棄、請求棄却)

「離婚は本来、夫婦間で決められるべき事柄で、離婚させたことの責任を不倫相手が直ちに負うことはない」

「離婚させることを意図し、夫婦間に不当な干渉をした場合など特段の事情がない限り」不倫相手に離婚慰謝料(離婚自体慰謝料)を請求できない

※末尾に判決文をつけております

 

【ポイント解説】

離婚時点で不倫発覚から3年以上経過しているので

不貞慰謝料(離婚原因慰謝料)は消滅時効にかかっています

 

しかし、原告は、不貞のせいで離婚に至ったんだとして

離婚時から3年の消滅時効になる離婚慰謝料(離婚自体慰謝料)を

不倫相手に請求しました

 

しかし、最高裁は

離婚自体慰謝料が請求できるのは基本的には配偶者に対してだけ

夫婦関係を破壊させようとして

例えば、家に乗り込んだり、電話をしまくったりしたような特段の事情があるなら、

例外的に不倫相手にも離婚自体慰謝料を請求できる

 

今回のケースでは、特段の事情がないのであるから(要はふつーの不倫)

被告男性に対して離婚自体慰謝料は請求できない

不貞慰謝料(離婚原因慰謝料)も消滅時効だし

 

ということで、請求棄却という判断を下しました

 

 

【問題点】

以前から、不貞での離婚の賠償まで不貞相手に請求するのはおかしい

という考えはありました

 

一度きり不貞をしたに過ぎない不倫相手が負う不法行為責任と

婚姻契約をしている一方配偶者の裏切りという不法行為責任が

金額的に同額とされ、しかも連帯債務となることには

違和感もありました

 

しかし、問題点は正直いっぱいあります

 

1 そもそも不倫って共同不法行為なんじゃ?

不倫は基本的には妻と不倫男性の2人でするもの

不倫慰謝料の場合は、2人で不倫しているのだから、2人で慰謝料を連帯して支払えということになります

法律的には不真正連帯債務といって、

例えば「2人で300万円に満つるまで支払え」という判決になります

 

この感覚からすれば

離婚慰謝料も同様に

不倫で離婚になった場合、その原因は結局2人の不倫なんだから、2人で慰謝料を連帯して支払うべきなんじゃないの、と思います

今までの裁判上の運用は、離婚慰謝料についても2人の不倫=不法行為による離婚なんだからとして、不倫男性と妻の連帯債務にしていました

1審、2審ともこのセンスでの判決です

この論理的な部分をどうカバーするのかなというところが、一番気になります

 

今回のように、不倫発覚から5年も経過して離婚しているのであれば

不倫以外が原因となって離婚になっていることも十分にあり得ます

 

その場合は、不倫と離婚との因果関係が否定されますから、

賠償請求は認められないという同じ結論を導けます

 

逆に、不倫が原因で別居になり

うつ状態になって、離婚協議に応じられるまでに5年かかったというはなしであれば

賠償請求はむしろ認められるべきではないかとも思います

 

最高裁は当然このあたりのバランスは考えたうえで、この新判断をしていると思いますので

そのあたりが詳しく書かれているであろう最高裁判決の解説が出されるのを待ちたいと思います

 

 

2 不貞が原因で離婚になった場合と離婚にならなかった場合で、不貞慰謝料に差が生じるの?

生じるとした場合の法的根拠は何?

 

従前は、不貞により離婚したことで、高額な離婚自体慰謝料を請求するという流れでした

しかし、不貞相手に対する離婚自体慰謝料が否定されたので

不貞慰謝料の算定に当たり、その後離婚に至っているか否かという事情を考慮するのかどうか

考慮する場合、今回の最高裁判決との整合性をどう考えるのか

(離婚慰謝料は認めないとしつつ、離婚にまで至ってしまっているんだから慰謝料増額というロジックが通るのか)

という問題が出ると思います

 

 

3 不倫での離婚の場合、不倫男性と妻を同時に訴える際の金額設定は?

従前は、離婚になった場合、不倫男性と妻に対して、

「連帯して300万円支払え」

という訴訟上の請求をしていました

 

しかし、不倫男性には低額の不貞慰謝料、妻には高額の離婚慰謝料

となると、

妻は300万円支払え、不倫男性は200万円支払え、そして200万円の範囲で連帯して支払え

として訴訟を出さなければならないのかという問題も生じます

 

さらに、不倫男性に対して請求する金額の遅延損害金は不法行為時(不倫時)から発生しますが

離婚慰謝料は離婚時から遅延損害金が発生するので(厳密には離婚の翌日)

遅延損害金の発生時点もめちゃくちゃになります

 

実務的には結構ややこしいです

 

 

【最後に】

実務的にはかなり影響のある判断です

 

離婚の相談を1日で8件受けたこともありますし

離婚慰謝料の案件は非常に多く扱っております

 

この件の結論の妥当性だけみれば、妥当とも思えますが

他の事案をも含めて離婚慰謝料の請求をシャットダウンしている判決なので

今後の運用等をチェックしていきたいと思います。

 

 

 

abemaTV「有罪率99.9%」の刑事裁判で無罪連発勝訴請負人弁護士の信念とは

 

アトム市川船橋法律事務所弁護士法人

 

市船への招待状