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平成が終わろうとしているこのご時世,
ちょっと信じがたい事件が群馬県で起きました
事件の概要は,
自称霊能力者が「悪魔祓い」と称して,1歳4か月の女の子を床に投げつけるなどして死亡させたという傷害致死事件です
霊能力を持つと自称する無職の「中島順聖(せいしょう)」こと北爪順子被告(66)=同市駒形町=が「悪魔払い」と称し、麻雛弥ちゃん(1歳4か月)を持ち上げ、床に投げつけるなどの暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた事件
前橋地裁は昨年3月9日、懲役9年の実刑判決を言い渡し

https://www.sankei.com/region/news/190327/rgn1903270011-n1.html

(この事件では,そもそも弁護側は暴行自体を否定し,控訴しているので,事実関係については本日時点で確定はしておりません)
傷害致死罪は3年以上20年以下の懲役となり,裁判員裁判対象事件です
(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
このような「悪魔祓い」といった宗教的行為(宗教的に見える行為)に関連して起こった同様の事件は過去にも複数あります
それぞれ色々な争われ方をしています。

福島悪魔祓い殺人事件

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E6%82%AA%E9%AD%94%E6%89%95%E3%81%84%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

この事件は,「悪魔祓い」名目で,6人もの人を殺害し,1人に重傷を負わせたという事件です
当時は事件の内容だけでなく,カルト的な経緯も注目され,かなりセンセーショナルに報道されました。
この事件の争点は,殺意や精神鑑定
つまり,暴行をしたこと自体は争わないけど,殺すつもりはなかったと主張し
さらに,主犯の女性らについては,責任能力も争われ精神鑑定なども行われたようです。
結論としては,主犯の女性には死刑,他の2人に無期懲役などの重い判決が下り
主犯女性については,既に死刑執行がなされています。
そして,もう一つ,法学部学生なら聞いたことがあるこの事件

加持祈祷事件

宗教的行為である加持祈祷によって少女を死に至らしめた僧侶が、傷害致死罪に問われた事件
宗教的行為を処罰することが、憲法20条の信教の自由に違反しないかが争われた憲法学上有名な判例です
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51738
この事件では,加持祈祷として体を拘束したり,背中を殴るなどした行為は僧侶としての正当業務行為(刑法35条)にあたり,違法性が無いから無罪だとして争われました。
これに対し,最高裁は,信教の自由も絶対無制約ではなく,
傷害致死になるような加持祈祷は違法だとして,有罪判決を出しています。
なお,この裁判ではもう一つ面白い争点がありました。
弁護側は,加持祈祷行為の再現を警察官が行い,その様子を撮影した写真が
宗教を冒涜したものだとして,証拠として認めるべきではない(証拠能力がない)
という主張をしました
しかし,この点についても裁判所は,宗教行為ではなく外形的な再現に過ぎないから冒涜ではないという判断をしています
最後に,無罪になった有名な例を説明します

牧会活動事件

警察が捜査中だった高校生2人を、牧師が保護し、教会に1週間にわたって宿泊させた上で、
最終的に警察に任意出頭させた行為が、犯人蔵匿罪にあたるとされた事件である。

http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/23-1.html

(犯人蔵匿等)
第百三条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
弁護側は,この事件でも加持祈祷事件と同様に正当業務行為であるとして無罪を争いました
そして,裁判所は
牧師が行った行為は牧会活動の一部であることから
信教の自由を根拠に正当業務行為として無罪を言い渡しました
色々な評価はあると思いますが
加持祈祷事件と牧会活動事件では
行為と結果の重大性や目的達成のための相当性などが考慮されたものだと思います
【まとめ】
信教の自由は重要な憲法上の権利です
しかし,信教の一環として行われた行為であったからといって,何でもかんでも許されるわけではありません。
また,ある種の洗脳状態下で行われるカルト的な側面があるため,関係者が重大な加害行為を適切に止められないという特殊性もあるように思います
さらに,宗教に名を借りて行われる違法行為も現に多く存在します。
信教の自由については保障しつつ
二度と同様の被害が生じないよう,注意していかなければならないと思います
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