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お盆の帰省ラッシュ中の8月14日未明から

東北道上りの一大サービスエリアの一つである佐野サービスエリアで

従業員がストライキを行い

廃墟のような状態になっているということです

『営業停止の佐野SA泥沼背景「来るべくしてきた」』(日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201908140000851.html

 

ストライキ=従業員が仕事をしない、職場に来ない

というものですが

これは会社側にとってはたまったものではありません

 

しかも今回のストライキは

辞めさせられた役員の復職を求めること(この役員というのが取締役などなのか、肩書のある従業員であるのかは不明)

そして会社社長の経営方針に反対することが主要な目的のように報道されていますし

ストライキをすることを事前に予告したのかどうかも微妙なようです

 

そこで今回の佐野サービスエリアのストライキが法的に認められるのか

1 ストライキがそもそも権利として認められる?

2 認められる結果、どのような恩恵が受けられる?

3 「正当な」争議行動と認められるためには?

について簡単に説明させていただきます

そして最後に

会社の信用情報を流出させた役員の責任

についても説明させていただきます

 

 

1 ストライキがそもそも権利として認められる?

労働者には

団結権=労働組合を作る権利

団体交渉権=労働者と労働条件について話し合いをする、協議の場を求める権利

団体行動権=ストライキ、サボタージュ等の具体的な争議行動を行う権利

があります

 

これらは憲法28条やそれを受けた労働組合法などによって保障されています

2 認められる結果、どのような恩恵が受けられる?

労働組合が団体交渉・団体行動(争議行動)をできるとしても

それによって処罰されたり、高額な賠償請求を受けたり、会社をクビになってしまうのであれば

権利として保障された意味がありません

 

そこで、「正当な」争議行動に対しては

次のような法的な保護が与えられえています

 

「刑事免責」

=「正当な」争議行動で行われた建造物侵入、威力業務妨害などでは逮捕され裁判にはかけられません

 

とはいえ、殴るなどの暴力は、いかにも述べるとおり「正当な」争議行動とはいえないでしょうから

処罰対象になります

 

「民事免責」

=会社をサボられてしまったら会社が機能しなくなるので、会社に損害が生じます

しかし、「正当な」争議行動によって生じた会社の損害であれば

労働組合や組合員に対して、その賠償を求めることはできません

 

 

「不利益取り扱い禁止」

=要は懲戒処分を受けたり、会社の中で不当な配置換えを受けたりもしないということです

 

これらの保障があることで

労働組合による争議行動を行う権利が守られるということになります

3 「正当な」争議行動と認められるためには?

 

しかし、会社側にしてみれば

従業員が仕事に来ない、仕事をしないなどという事態が日常的に起きては、会社を経営してられません

 

そこで、会社が労働者や労働組合に対して、賠償請求などができないのは

以下の要件を満たす「正当な」争議行動の場合に限られます

 

裏を返すと、以下の要件を満たさない場合は

逮捕、損害賠償の裁判、懲戒解雇などを受ける可能性もあるということです

 

【「正当な」ストライキになるための4つの視点】

主体

団体行動は団体交渉が前提になりますので

原則的には

ストライキを行うのは労働組合

となります

(労組でなくても憲法28条で保護される可能性はありますが)

 

単に、仲の良い従業員が徒党を組んで仕事を休むのは、単なるサボりです

労働組合は2人以上が組合を作る旨の合意をすればいいもので、届け出などは要りませんが

会社に対して団体交渉を申し入れている等の前提が通常は必要なので

昨日作った労働組合が、今日ストライキ、というわけにはいかないでしょう

 

目的

争議行動は、あくまで労働条件の改善を目的として行われるものでなければなりません

労働者の労働環境などの権利を守るために、会社の犠牲の下認められている権利なので

ある意味当然です

 

その結果、役員人事に関する事項や、経営判断事項、政治問題に関する事項を目的とするストライキはできません

(なお役員人事や経営判断についても、労働条件等に影響がある場合にはストライキの対象になり得ます)

 

今回の件も、会社を辞めさせられた取締役等役員の復職を求めることや

会社の経営判断に対する抗議が目的であれば

「正当な」ストライキの目的とは言えないかもしれません

 

役員の復職が、労働条件改善、労働環境調整という意味合いもあるのかもしれませんが

それであれば復職を求めるより、その先にある労働条件や労働環境についての要求をすべきでしょう

 

態様

簡単にいいますと

暴力的行為はアウト

会社の財産への侵害は最小限に

というガイドラインです

 

今回はあまり問題にならないかなと思います

 

手続

 

ここが今回は一番問題になるかなと思います

労働組合による行動であっても

いきなり「今日ストライキをします」とされてしまったら

会社としては事前の対応もできませんし、

そもそも労働組合側の意図・目的もわかりません

 

争議活動は

あくまで労働条件の改善を目的とした団体交渉の実効性を上げるため

要は「ストライキするよ」という脅しの下で

ちゃんと会社側にも労働条件について考えるよう求めることが主目的です

 

ですので

事前に団体交渉がしっかりと行われていなければならないのが基本です

 

そしてその交渉のテーブルに会社が付かなかった、要求を拒否した場合に

事前にストライキをすることを予告して行うのが原則です

 

例外的に、ストライキの予告なく、抜き打ち的に行われるストライキが違法とならないケースもありますが

違法な抜き打ちストであるとして会社から損害賠償請求を受けるリスクがあること等を考慮すれば

ケースバイケースとはいえ、予告することができない等の事情なき限り

この手続きは踏むべきと思います

 

今回も事前に予告されていたものなのかが問題になりそうです

 

 

 

まとめ

 

今回の佐野サービスエリアの従業員ストライキは

労働組合として行われていたのかは不明

報道されている「役員」の復職や社長の経営方針批判という目的は微妙ですし

労働条件についての団体交渉が行われ、事前予告の上でのお盆直撃ストライキなのか

抜き打ちストなのか

など多くの問題をはらんでいるように思います

 

ですので、「正当な」争議活動・ストライキなのかどうかは、今の報道されている事実関係からは不明といわざるを得ません

その結果、「正当な」ストライキではないという会社側から

労働組合や主導した従業員などが賠償請求を受けたり

懲戒解雇処分を受けるなどして

法廷闘争に持ち込まれる可能性もあると思います

 

とはいえ経営不振であれば

破産申立や事業譲渡などもあるかもしれません

 

ついでに会社の信用情報を流した役員の責任は?

 

会社のメインバンクからの融資拒絶のような

会社の信用情報については

会社役員や従業員には守秘義務が課せられているでしょう

 

これに違反する行為なので

相手会社を裏切りたくないという一見正当な目的があるとしても

会社との関係では守秘義務違反などとして

損害賠償請求を受けたり、懲戒処分を受けることはあり得ま

 

もっとも、虚偽の信用情報を流出させたり

守秘義務情報を渡してお金を受け取っていたような場合は犯罪になり得ます

 

前者は信用棄損罪(3年以下の懲役、50万円以下の罰金)

後者は背任罪(5年以下の懲役、50万円以下の罰金)

 

いずれ今後の会社の動きに注目です

 

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