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今月15日,慶応大学アメリカンフットボール部が無期限活動自粛を発表しました。

しかもその自粛の理由を「教育的」及び「プライバシー保護」の観点から公表しないかたちで発表しました

 

以下,

 

慶応大学の対応の過ちとは?

 

盗撮は何罪になるの?

 

上級国民は逮捕されないの?

 

の順で簡単にご説明させていただきます

 

 

慶応大学の対応の過ち

 

 

SNSなどを端緒に高速で情報収集と拡散がなされる現代社会にあって

理由を公表しないなどという対応が火に油を注ぐことになるとは思わなかったのかなという気がしますが

 

案の定,あっという間に理由が特定され,翌日ニュースになりました

 

その理由は,合宿中に慶応大アメフト部の男子部員複数が

女性部員の風呂を盗撮したとのことです

https://news.livedoor.com/article/detail/17240979/

 

Voyeur – man spying over toilet cabine

 

それにそもそも非開示の理由にも問題があると思います

 

「教育的」観点というのが,誰に対する教育的観点なのか

誰の「プライバシー保護」を目的としたのか

 

今回の事件は

18歳以上の男性による犯罪行為です(どういう犯罪になるのかは後述)

 

関連した学生が何歳なのかは明らかではありませんが

2022年からは18歳以上が成人となりますので

もはや成人と同様の責任意識を持たなければならない年齢の集団なはず

 

罪を犯した学生に対して適切な刑事処分(未成年であれば少年審判)がなされることこそ

教育的効果があると思います

 

また,被害者のプライバシーに配慮しているという立て付けなのかもしれませんが

加害者のプライバシーを守ろうとしていると見られても仕方のない事案のように思います

 

いずれ理由を公表しなかった慶応大の対応は批判されてしかるべきではないかと思います

 

 

 

慶応大アメフト部の部員に成立する犯罪は?

 

 

盗撮に対して成立する犯罪は

迷惑防止条例違反

軽犯罪法違反

があります

 

 

迷惑防止条例違反

迷惑防止条例は各都道府県が定める条例ですので,各都道府県によって定め方はまちまちです

今回の盗撮がどの都道府県で撮影されたのかは不明ですが

その都道府県の条例に盗撮禁止が定められていれば処罰されます

 

参考までに東京都迷惑防止条例は以下のように定め,罰則も制定しています

東京都迷惑防止条例 5条1項

(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体 を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し 向け、若しくは設置すること。

イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる ような場所 ロ 公共の場所

→刑罰 1年以下の懲役または100万円以下の罰金

 

※ 今回の合宿は静岡県とのことです

静岡県迷惑防止条例の第3条にも同様の条文があるので,処罰対象です

2 何人も、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさ
せるような方法により、住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服の全
部若しくは一部を着けない状態でいるような場所に当該状態でいる人の姿態
を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、又は人の身
体に向けてはならない。

→6月以下の懲役または50万円以下の罰金(常習だと1年以下の懲役または100万円以下の罰金)

 

軽犯罪法違反

もう一つが軽犯罪法違反です

軽犯罪法 1条

二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

→刑罰 拘留または科料

※ 拘留=30日未満の懲役のようなもの,科料=1万円未満の罰金

 

この二つの犯罪では適切な処罰がなされない?

 

盗撮自体を罰する犯罪としては迷惑防止条例と軽犯罪法がありますが

迷惑防止条例→都道府県によっては処罰対象になってないかも

軽犯罪法→刑が軽すぎ

という事情があります

 

ですので,実際の盗撮事件を摘発する場合は

盗撮そのものではなく

盗撮のビデオ設置のために女子風呂に入った点をとらえて

建造物侵入罪での摘発がなされる可能性があります

刑法 第130条

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

 

 

なお,大学側が

動画の抹消処分を指示していたり

口裏を合わせるようなことをさせていた場合は

そのような指示を行った学校関係者に

犯人隠避罪(刑法103条)や証拠隠滅罪(同104条)

が成立することはいうまでもありません。

→刑罰は3年以下の懲役または30万円以下の罰金

 

 

 

慶応大生は誰も逮捕されない?

 

 

慶応大学が自らアメフト部を無期限活動自粛にしていることからすると

盗撮の事実自体は裏付けが取れているのでしょう

 

そうすれば逮捕されてもおかしくないはず

 

逮捕をするためには

逮捕の理由=罪を犯したと疑うに足りる相当な理由

逮捕の必要性=逃亡の恐れ,罪証隠滅の恐れ

が必要です

 

逮捕の理由=犯罪の嫌疑

は盗撮の裏付けが取れているのであれば明らかでしょう

 

逮捕の必要性=逃亡,罪証隠滅の恐れ

20歳そこそこで初犯,成立する犯罪もせいぜい建造物侵入罪程度であれば

家族や生活をかなぐり捨てて逃亡する可能性は極めて低いでしょう

でも,罪証隠滅の恐れはあるはず

 

 

・携帯電話内のデータを自ら消す可能性

・LINEなどで動画をシェアしたグループなどの削除

・SNSなどへのアップ履歴の削除

・カメラ設置状況や盗撮状況の口裏合わせ

・過去の同種犯罪の隠蔽

・盗撮被害者女性に口裏合わせを求める可能性

・動画撮影に関与指示していた先輩や仲間を守る口裏合わせ

・関与して居ない他の部員の巻き込みの可能性

 

など,大学の部活という特殊な社会内での犯罪であることから

様々な罪証隠滅の可能性が指摘できると思います

 

さらに慶応大側主導での隠滅の恐れも拭い去れません

 

・「プライバシー保護」名目で部員に動画の消去を命じている可能性

・被害女性も慶応大生であれば大学からの「圧力」もありうる

 

 

僕個人としては,何でもかんでも逮捕する警察のスタンスには大いに反対です
 

 

しかし,大学が学生を刑事告発することなく

逆に「教育的」「プライバシー保護」を大義名分に事実関係を隠蔽しているという今回の事実関係を踏まえると

罪証隠滅の恐れはあるといわざるを得ないかなと

 

 

そして僕の経験を踏まえると

(というか多くの刑事弁護人が同じ感覚だと思いますが)

 

通常の警察など捜査機関のセンスからすれば

当然逮捕の要件を満たしていると判断しているはずの状況ではないかと

 

 

この事案で逮捕しないなら

僕らの扱っている他の逮捕案件の方がよっぽど罪証隠滅の恐れないですよ

ダブルスタンダードじゃないですか

といいたくもなります

 

(特に慶応大アメフト部に何の怨恨もありません

逮捕しなくてもよいと思われる案件で逮捕をして自白を迫る警察には思うところはありますが)

 

 

警察のダブルスタンダード?

 

 

警察のダブルスタンダードといえば

今年はやった言葉の一つに

 

上級国民

 

というワードがあります

 

二人を死亡させた池袋暴走事件の被疑者が逮捕されなかったこと

直後に同じような事件を起こした神戸市バス事件の被疑者は即逮捕だったこと

がきっかけで注目されたワードです

 

池袋暴走事件の場合,逮捕後入院したという点が,逮捕しなかった一番の要因ではないかと思いますが

 

やはり

 

上級国民は逮捕されない

 

という疑念を多くの国民が持ってしまった事件では無いかと思います

 

 

そして弁護士の立場からしますと

 

上級国民は逮捕されない

 

というのは真実だと思います

 

「上級国民」=

「元官僚、医者、弁護士など社会的な地位と家庭があり、収入・資産が潤沢にある人」

と定義すれば

 

犯罪の嫌疑があっても

地位・資産・家族を放り出して逃亡生活を始める可能性などないでしょう

 

ですので、

無職・未婚・身寄りなしの人に比べれば

「上級国民」は逃げないよね

 

ということになります

また

証拠隠滅をすれば「反省がない、事件後の態度が悪質」などとして刑が重くなるリスクがあります。

さらに、証拠隠滅が発覚した時点で、身柄がとられてしまい、長期にわたり警察署に留め置かれることになります。

 

「上級国民」の場合

逮捕により地位を失い、家族を失い、資産減少を招くリスク社会生活に重大な支障が生じます。

また、実際に刑事裁判にかけられたり、実刑を受けることになれば、さらなる実害が生じます

 

ですので

無職・未婚・身寄りなしの人に比べれば

背負っているものが大きい、リスクが大きいのに

敢えて証拠隠したりはしないよね

という信頼があることになります

 

 

このような感覚は、逮捕する捜査機関も、令状を出す裁判所も持っていますので

結論としては

 

「上級国民」は逮捕されにくいというのは真実

 

ということになると思います。

 

 

慶応大生は逮捕されない?

 

 

慶応大生(とその家族)が上級国民であることには異論はないように思います

 

今回の事件発覚から日が浅いですから

単に逮捕するに十分な証拠を押さえていないだけともいえますが

少し先取りして考えますと

 

今回の件で慶応大アメフト部の部員は逮捕されるでしょうか?

 

僕の単なる予想ですが

結論としてはやはり

 

逮捕されない可能性が高いと思います

 

犯罪自体が決して重い部類では無いこと

逃亡の恐れが無いこと

そして

慶応大生が上級国民であること

などからすれば

あえて逮捕には踏み切らないのではないかと思います

 

とはいえ

 

自分で勝手に予想しておいて

否定するのもおかしいですが

今回の事案は

罪証隠滅の恐れ,しかも組織ぐるみの隠ぺいの可能性がある事案であることは上記の通り

 

しかも今回の事案は

上級国民集団である慶応大学のプライドを守るための組織ぐるみの隠ぺいの可能性がある

事案であると考えられるので

まさに警察が介入して適切な捜査を行うべきではないかと思います

 

ですので,

 

上級国民であることが

逮捕の必要性を高めている事案

 

ともいえるかもしれません

 

 

ただ何度も言いますが

僕が今回の事案で言いたいのは

 

アメフト部員を逮捕しろ,ではありません

 

この事案で逮捕しないなら

慶応大生じゃない同種の事案でも逮捕するなよ

慶応大学や上級国民の肩書に忖度したダブルスタンダード

で臨むなよ

という点です

 

 

長くなりましたが

警察のダブルスタンダードがなくなること

そして

一番は,被害に遭った女性が

慶応大学やその関係者等による二次被害を受け

退学に至るようなことが無いことを祈ります

 

 

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