ホテルで30倍の価格設定は違法?強制的にキャンセルされた場合の対処方法とは!

お知らせ

有名人や人気アイドルなどが地方にやってくると、そのときだけ突然ホテルの宿泊料金が高騰するケースがあります。たとえば平常時の何十倍もの料金設定をした場合でも違法にならないのでしょうか?

また予約が殺到したためにホテルから予約を一方的にキャンセルされときでも、キャンセルは有効なのでしょうか?

 

今回は実際にホテルが平常時の30倍もの価格設定をした事案やホテル側が一方的に予約をキャンセルした事案でホテル側に違法性があるのか、弁護士が解説します。

 

 

1.事案の概要

2022年12月、羽生結弦さんが八戸でアイスショーを行うことが決まりました。

当日は多くの客が八戸へ殺到し、ホテル価格が高騰しました。ホテルセレクトイン八戸中央(以下「セレクトイン」といいます)では平常時の価格が約3000円なのに、その30倍の11万円になったのです。

 

またスーパーホテル八戸天然温泉(以下「スーパーホテル」といいます)では、じゃらんや楽天トラベルなどの各種予約サイトから申込みが殺到し、重複予約になってしまったことからすべてキャンセル扱いにしました。

 

 

このように、セレクトインでは平常時の価格から大きく剥離のある金額が設定され、スーパーホテルでは一方的にキャンセルされたので、以下のような虚偽の噂が流れてしまいました。

 

「セレクトインでは、もともとあった契約をすべて一方的にキャンセルし、高額な価格で契約を取り直した」

「ホテル側は一方的キャンセルではなく『システム障害』と説明している」

 

ただこの情報はデマであることが判明しています。セレクトインが一方的なキャンセルを行ったことはなく、システム障害もない様子だからです。セレクトインとスーパーホテルの情報が混じってしまってガセネタが広まったというのが真相です。

こういった状況において迂闊に虚偽の情報を拡散すると偽計業務妨害罪になってしまうので、そういったことをしないように注意しましょう。

 

2.平常時の30倍の価格設定は違法?

セレクトインのように、人気者が来たからといってホテル側で平常時の30倍の価格設定をするのは違法なのでしょうか?

これについては合法であると考えます。そもそもいくらの値段を設定するのもホテル側の自由だからです。

市場価格は需要と供給によって決まるので、法的な問題はありません。

 

3.ホテルは一方的なキャンセルができるのか?

スーパーホテルのように、いったん成立した契約を一方的にキャンセルしても違法性はないのでしょうか?

結論的に、いったん申込みがあって契約が成立している以上、ホテル側からの一方的なキャンセルはできません。

ただしホテルの宿泊規約では「やむをえない事由」「正当な事由」があればキャンセルできるとされているのが通常です。たとえば天変地異が発生した場合などにはキャンセルが可能となるでしょう。

 

とはいえ本件のようにダブルブッキングでできるかどうかは微妙なところです。

 

4.実際にホテルに行くと泊めてもらえるのか?

では申込みをしたけれどもキャンセルされた方が、キャンセルの効果を争ってホテルに行けば泊めてもらえる可能性があるのでしょうか?

これについては、難しいでしょう。宿泊規約があるためホテルとしては「正式にキャンセルが成立している」というスタンスでしょうから、宿泊は認めてもらえないと予想されます。

しつこく居座ると「不退去罪」になってしまう可能性もあります。現地で騒ぎを起こすと「威力業務妨害罪」になってしまうでしょう。

裁判をするのも弁護士費用などを考えると現実的ではありません。

無理に当日ホテルで泊めてもらうのはほぼ不可能という結論になります。

 

5.差額を賠償してもらえるの?

ホテル側から一方的にキャンセルされたため、申し込んだ人には損害が発生していると考えられます。たとえば5000円(スーパーホテルの通常料金)で宿泊できるはずだったのにキャンセルされて11万円の部屋(セレクトイン)を取らざるを得なくなったら、差額の賠償を求められるのでしょうか?

 

基本的には差額賠償は難しいと考えられます。

そもそも5000円の部屋に泊まれなくなったからといって11万円の部屋に宿泊しなければならないわけではありません。11万円の部屋をとったのは本人の希望であり、因果関係のある損害にはならないでしょう。

11万円の宿泊料金を設定したホテル側に不当利得もありません。11万円の市場価値の部屋を11万円で提供しているだけだからです。

損害賠償請求できるとしても、もともとの宿泊料金である5000円がMAXになるでしょう。

 

なおスーパーホテルの規約では、ホテル側都合でキャンセルした場合、他の施設を紹介することとなっており、その差額をホテル側が負担する内容となっています。

ただし「他の類似条件のホテル」となっており、本件想定事案のようにあまりに大きな差額のある場合は当てはまりません。また「スーパーホテルが紹介した場合」とあるので、自分で勝手に高額な部屋を予約してもこの規定には当てはまらないでしょう。

 

以上のように、ホテルが平常時の30倍の価格設定をしても違法ではありませんし、キャンセルされたときの損害賠償も簡単ではありません。

今後の参考にしてみてください。

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