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貴乃花の引退という大ニュースが先週流れましたが

今週も大きなニュースが飛び込んできました

貴ノ岩が元日馬富士に対して

約2400万円の損害賠償を求める民事訴訟を提起したとのことです

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181004-00000040-dal-spo

 

【裁判などの流れ】

今回のような傷害事件の場合

一般的には、刑事裁判が先行します

今回も、日馬富士に対して50万円の罰金(傷害罪の罰金としては最高額)が課されました

 

その後、損害賠償請求の交渉などに、入っていきます

 

今回でも恐らく代理人同士での賠償交渉が行われたのだと思いますが

恐らく、話がまとまらなかったのだと思いますが

貴ノ岩側から、損害賠償を求める内容の民事調停を起こしたようです

 

【民事調停とは?】

民事調停は裁判所の調停委員を交えた話し合いです

話し合いによる解決を目指す場合

賠償額についての折り合いがつかない場合に、第三者的な意見をもらいたいような場合

などに用いられますし

裁判よりも調停の方が、裁判所に支払う印紙代は低額ですみます(半額です)

 

もっとも、裁判者への出頭は義務付けられませんし

出頭しなくても不利益はありません

(民事訴訟の場合、争う姿勢を示さなかったり、裁判所への不出廷を繰り返すと、欠席判決で負けてしまいます)

さらに、あくまで話し合いなので

今回の日馬富士側のように、全く譲歩しなければ調停は成立せず

結局訴訟を提起しなければならなくなります

二度手間、ということになり得るということです

(調停が不調になってから2週間以内に訴訟提起すれば、印紙代は残りの半額を滞納すれば足ります。2週間以上経過すると、訴訟用の印紙代を改めて全額支払わなからばなりません)

 

貴ノ岩側は話し合いによる早期解決を目指したのかも知れませんが

日馬富士側が低額の示談金額にしか応じないスタンスだったようです。

 

なお、調停に出廷しないという対応についてですが

これは普通に考えると

支払う気はない、話し合う気はない、裁判でもなんでもやってくれ

という意思表示のようにみえます

 

もし支払金額について、本人が納得できないのであれば

その旨を調停に出て話せばいいだけですし

 

もし当事者と代理人間での協議ができていないのであれば(日馬富士はモンゴルにいると思いますので)

 

その旨を調停に出廷して伝えるか

調停期日の延期を申し立てればいい話です

 

もし協議をする気持ちがあるのであれば

出廷しないという対応はしないと思います

 

そして、誰が出廷しないという判断をしたのかですが

代理人弁護士が自身の意思で出廷しないということはまずあり得ません

 

つまり出廷しないという判断をしたのは

日馬富士本人だと思われます

 

【白鵬、貴乃花は裁判に出廷する?】

裁判になった後も話し合いでの解決に裁判官はトライしますが

もし話し合いの芽がなければ

事実関係の解明のために

証人尋問を行うことになります

貴ノ岩はほぼ確実に尋問をすることになるでしょうし

日馬富士も尋問を受ける可能性は高いと思います

 

さらに暴行の現場に立ち会わせた白鵬は

暴行の経緯、態様、執拗さなどを明らかにするために

証人として法廷に呼ばれる可能性はあると思います

 

また、貴ノ岩側は

貴乃花を法廷に呼んで証言してもらうことで

事件後の貴ノ岩の精神状態(PTSTなどになった可能性もありますので)や

貴ノ岩の降格に至る経緯、

復帰をめぐる相撲協会や日馬富士サイドとのやりとりなどを法廷で語ってもらい

慰謝料が高額になる根拠づけを狙うこともありうるかもしれません

 

この二人が証人として同じ日に法廷に呼ばれることになれば

二人が同時に宣誓をすることはあるかもしれません

(証言は一人ずつ行ない、一方が証言している間は、他方は別室で待つことになります。証言に不当な影響が及ばないようにするためです。)

 

【貴ノ岩の請求金額の根拠は?】

報道によると、貴ノ岩の請求金額の費目は以下のとおりとのことです

※ それぞれに、費目の意味をコメントさせていただきました

 

【積極損害】入院治療費用等 435万9302円

※ 積極損害というのは、簡単にいうと、事件をきっかけに実際に支出することになった金銭的損害(実費)です

これに対して、消極損害というのは、休業損害や逸失利益のように、事件がなかったらもらえたはずなのにもらえない金銭的損害をいいます

 

【逸失利益】

(1)給与差額 148万1840円

※ 十両から平幕に降格したことによる逸失利益と、休業を余儀なくされたことによる休業損害に近いものだと思われます

 

(2)懸賞金の逸失 900万円

※ 当然請求したい費目だと思いますが

これについては仮定に仮定を重ねるような計算方法を用いているようです

額が大きいだけに、ここが一番揉めるところではないかと思います

 

(3)巡業手当の逸失 38万円

※ これも金額的には、入通院等の期間にもらえなかった巡業手当=休業損害ではないかと思います

 

(4)退職時の幕内養老金等の減 172万円

※ 養老金は退職金のようなもので、基本金と加算金があるとのことです

巡業等に継続的に出ることで加算金が増えるのですが、入通院等で巡業等に出られなかったことによって、逸失利益が生じたということなのだと思います

参考 https://matome.naver.jp/odai/2136097729241884001

(逸失利益の合計は1258万1840円)

 

【慰謝料】 500万円

※ 渉外の場合の慰謝料は、入通院期間によって通常は計算されます

医師の診断書に書かれる「全治2週間」などの記載は賠償額の算定には基本的には関係ありません

これは受傷直後の治療見込み期間であって

実際の治療期間ではありません

損害計算は実際の通院期間を基礎にするので

頭部裂創の傷害で縫合をしていれば

治療期間が2週間以上にはなると思います

 

そして、交通事故のような過失事故の場合と異なり、本件は故意行為による加害事件です

このような場合は、過失の水準の1.5倍から2倍程度の計算をすることがあります

さらに、今回の貴ノ岩の被った精神的苦痛は、今後の力士人生に大きな影を落としかねない重大なものだと思われます

傷害事件の場合の慰謝料としてはやや高額ですが

そのような事情を加味して定められた金額だと思われます

 

【弁護士費用】 219万4114円

※ 損害賠償請求訴訟の場合、請求する金額の10%は弁護士費用として相手方に請求することができます

一方、代金未払いや貸金の請求などの場合は弁護士費用は請求できません

 

以上のような費目での請求を行ったとのことです

 

これに対し、貴ノ岩側の弁護士によると、日馬富士は、当初は30万円の支払を主張し

その後、50万円の支払を主張していたとの報道がありますが

交通事故でのむち打ち被害であっても、2か月の通院で52万円の慰謝料になりますので

今回の貴ノ岩の怪我の程度を考えれば

あまりに低すぎる金額提案だと思います

 

訴訟提起をしている以上、裁判所が最終的な判決をすることになりますが

それ以前に、裁判所より、話し合いによる解決ができないかという和解の提案がなされるのが通常です

当事者は、裁判所からの提案に乗る必要はありませんが

最終的に判決を書く裁判官の和解は、判決の見込みを示すものでもあるので

どのような和解案が出されるのかは、事案の行く末を占うものになりますし

判決見込みを前提として、

少しでも有利な条件で和解をした方が得

という判断もあり得ます

 

非常に多くの民事裁判の事案が、最終的には和解による解決になります

本件も、最終的には和解になるのではないかと思います

 

和解になるような場合、和解内容には守秘義務が入れられるので

情報が外にはなかなか出てこないかもしれませんが

引き続き、訴訟の経過等について注目していきたいと思います

 

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