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もしかしたら今年末一番のニュースになるかもしれません。

日産のカルロス・ゴーン社長が任意同行(警察の要請で任意の取り調べを受けに警察署に行っている状況)とのことで

今後、嫌疑が固まった時点で、逮捕の可能性が出ているとのことです。

※ その後逮捕になりました

被疑事実は、金融商品取引法違反

よくわかりませんよね、なんの法律か。

 

昔の証券取引法、といえばピンとくる方もいるかもしれません。

ライブドアの堀江貴文さんが逮捕された犯罪です

 

堀江さんは、『架空の売り上げ計上』が有価証券報告書の虚偽記載とされ、旧証券取引法での逮捕となりました。

 

一方、カルロス・ゴーン会長は、報道によると『報酬の過少申告』とのことです。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181119-00000044-asahi-soci

 

有価証券報告書は、簡単にいうと

上場会社などが、投資家の投資判断の資料等にするため、事業年度ごとに会社の業績をまとめて国(内閣総理大臣)と証券取引所に提出する書類です

この有価証券報告書は、通常、監査法人か公認会計士が、

「記載に間違いがない、内容が適正である」という

意見表明を付けます

 

これらの有価証券報告書の記載事項と提出を義務付けているのが「金融商品取引法」になります

(条文がめちゃくちゃ長くて、しかもわかりづらいので、今回は添付しません。興味ある方は金融商品取引法24条をご覧ください)

 

そして、有価証券報告書に虚偽記載を行った場合

提出者に対しては10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれらの併科(両方喰らうということ)

提出した法人に対しても7億円以下の罰金

(両罰規定といって、代表者と法人両方を処罰する規定です)

※ 条文は下に添付します

 

カルロス・ゴーン会長の虚偽記載内容は

「報酬の過少申告」

とのことです。

有価証券報告書の中には、

会社の財務諸表(要は会計書類)が含まれており、今回の件は

この財務諸表の虚偽記載が犯罪事実とされているものと思われます。

 

ここで、会社経営者の方の中には

「報酬の過少申告」って脱税なんじゃないの?

と思われた方もいるかもしれません。

 

まさにその通りです。

「報酬の過少申告」であれば、所得税法違反にもなり得ます

 

個人の報酬の過少申告(収入を偽った場合や、交通費、社宅手当、交際費など私的利用と認められる支出を会社の経費につけていたような場合)を行えば

確定申告書の記載内容も誤りということになりますし

有価証券報告書の記載内容も誤りということになります

 

現時点では事実関係が明らかではありませんが

もし「報酬の過少申告」という事実が真実であれば

上記のような状態になると思われます。

 

【特別背任の可能性も?】

 

本日2018年11月19日付の日産自動車HPで

「当社が意表取締役会長らによる重大な不正行為について」

という文章がリリースされています

https://newsroom.nissan-global.com/releases/release-860852d7040eed420ffbaebb223b6973-181119-01-j

 

この内容を引用しますと

『(代表取締役会長のカルロス・ゴーンと代表取締役のグレッグ・ケリー)両名は、開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明いたしました。』

⇒この行為は典型的な有価証券報告書の虚偽記載になります

さらに

『そのほか、カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められ、グレッグ・ケリーがそれらに深く関与していることも判明しております。』

⇒このような方法での不正支出は、会社法の特別背任罪や業務上横領罪にもなり得る重大な犯罪行為ということになり得ます

 

取締役による特別背任罪(会社法960条Ⅰ③)は

10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金もしくはこれらの併科

 

業務上横領罪(刑法253条)は

10年以下の懲役

になります

 

特別背任罪というのも、ニュースでたまに聞くけどよくわからない犯罪ではないでしょうか

 

これを簡単にいいますと

会社の取締役などが、自分の利益や第三者の利益を図って

任務に背いた行為をして、会社に損害を与える犯罪

 

誤解を恐れずに、もっと簡単にいうと

会社役員の権限をおもいっきり利用して、私腹を肥やす行為を行った場合

に成立します

 

 

日産のリリースを見る限り、単なる脱税を超えた不正支出がなされていた可能性がありますし

今後、金融商品取引法違反だけではなく

特別背任罪等での再逮捕もあり得るのかもしれません

(むしろこちらが本丸なのかもしれません)

 

いずれ、非常に重大な事件です。

これほどまでに影響力の大きな方、しかも外国の方を逮捕するということになると

多方面に影響が出るはずです。

 

事実関係を認めるかどうかによりますが、

認めているのであれば、逮捕の必要性などないでしょう。

罪証隠滅や逃亡の可能性がないことになりますので。

 

ただ、一度逮捕されると

特別背任罪等の別罪での再逮捕もあり得るかもしれません。

 

また、いろいろな陰謀論なども出てくるかもしれませんが

捜査機関には、そのような影響を受けたり、政策的な判断をすることなく

しっかりと犯罪事実の有無を、証拠によって認められる事実関係から導き出していただきたいと思います。

 

引き続き、報道に注目していきたいと思います。

 

第百九十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第五条(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による届出書類(第五条第四項の規定の適用を受ける届出書の場合には、当該届出書に係る参照書類を含む。)、第七条第一項、第九条第一項若しくは第十条第一項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による訂正届出書(当該訂正届出書に係る参照書類を含む。)、第二十三条の三第一項及び第二項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による発行登録書(当該発行登録書に係る参照書類を含む。)及びその添付書類、第二十三条の四、第二十三条の九第一項若しくは第二十三条の十第一項の規定若しくは同条第五項において準用する同条第一項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による訂正発行登録書(当該訂正発行登録書に係る参照書類を含む。)、第二十三条の八第一項及び第五項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による発行登録追補書類(当該発行登録追補書類に係る参照書類を含む。)及びその添付書類又は第二十四条第一項若しくは第三項(これらの規定を同条第五項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。)若しくは第二十四条の二第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による有価証券報告書若しくはその訂正報告書であつて、重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した者

 

第二百七条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第百九十七条 七億円以下の罰金刑

 

【会社法 特別背任罪】

(取締役等の特別背任罪)
第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 発起人
二 設立時取締役又は設立時監査役
三 取締役、会計参与、監査役又は執行役
四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者
五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者
六 支配人
七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人
八 検査役

 

【刑法 業務上横領罪】

第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。